「高校生の投手の中では一番の素材。上体の使い方、特に右腕のしなりには大きな可能性を感じる」

 右肩痛や左股関節痛に苦しんで確かな実績を積めなかったが、体に備わるエンジンの大きさと投手としての天性の感覚は、将来の大化けを予感させる。

 もちろん、チームの育成方針や来季の構想との兼ね合いで、即戦力を求める球団もある。そこで注目したいのが社会人野球の“W(ダブル)鈴木”だ。最速157キロを誇るヤマハの鈴木博志は社会人屈指の剛腕。完投能力を証明したのが9月の日本選手権東海最終予選。永和商事ウイング戦で1安打7奪三振の完封勝利をあげ、先発の適性を強烈にアピールした。ヤマハの美甘(みかも)将弘監督は、かつてこう評したことがある。

「現役、コーチ、監督を通して見てきた中でヤマハでは3本の指に入る素材」

 一方、日立製作所の鈴木康平も快速球を売りにする本格派右腕。最速151キロで、エースとしてフル稼働し、評価を高めた一人だ。「ドライチ」の称号を手にする選手は果たして……。(本誌・多田敏男、太田サトル、秦正理/柳原三佳、佐々木亨、黒田朔)

週刊朝日 2017年10月27日号

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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