塚口直史さん
塚口直史さん
日本人が陥りがちな投資の“間違い”(週刊朝日 2017年10月27日号より)
日本人が陥りがちな投資の“間違い”(週刊朝日 2017年10月27日号より)
初心者におすすめの11商品(週刊朝日 2017年10月27日号より)
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景気局面ごとの投資配分(週刊朝日 2017年10月27日号より)
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 お金は増やしたい。でも、投資で損はしたくないから銀行に預ける──。こうした誰もが陥りがちな“間違い”に警鐘を鳴らす専門家がいる。世界を股にかけて活躍中の凄腕ファンドマネジャーだ。彼が語る「究極の資産運用術」とは。

【図】日本人が陥りがちな投資の間違い

 塚口直史さん(43)は、顧客から集めた巨額資金を様々なものに投資し、収益を上げるファンドマネジャーだ。

 世界最大級の資産運用会社である米ブラックロックをはじめ、国内外の複数の金融機関で働いてきた。2015年には50%以上の投資利回りを実現し、米調査会社から「世界第3位」(グローバルマクロ戦略部門)として表彰された。現在はロシアを拠点に、自ら運用会社を経営している。

 塚口さんは今、日本人が投資を他人任せにしがちなことを気にかけている。

「企業も個人も、運用を外資系金融機関などに『丸投げ』する傾向がある。日本経済は成熟しており、これまで蓄えてきた資産をうまく運用していかないと、みんな生き残れない。それには自分で学び、考え、実践していくしかない。私は幸いにも、世界の超富裕層のお金の増やし方や考え方を現場で知ることができた。この知識をみなさんに伝えていきたい」

 まず塚口さんの助言に従い、多くの日本人が陥りがちな5項目を下記にまとめてみた。

【日本人が陥りがちな投資の“間違い”】
×投資を他人に丸投げする ⇒ ○資産をどう増やすか自分で考える
×元本保証を重視しリスクを取らない ⇒ ○分散投資で安定的な拡大目指す
×値下がりするとすぐに損切り ⇒ ○うろたえず冷静に投資を続ける
×円預金していれば大丈夫 ⇒ ○円を絶対視せず外貨でも備える
×先進国の金融商品だけに投資 ⇒ ○成長性がある新興国に資金を配分

 ほとんどの日本人は投資をせず、預金しかしていない。株式などに投資している割合は約2割。欧米では3~5割程度という。預金は元本が保証される比較的安全な運用先で、リスクを避けたい日本人に好まれた。デフレが長引いたこともあって、値下がりする株や不動産を持つより、「円預金が結局一番得」だった。だが、これからもずっとそうだとは限らない。

「今はほとんど金利がつかず、預金だけではリターンが期待できない。銀行が倒産してしまうリスクもある。金融商品を組み合わせて長期的に運用したほうが、安定的に資産を拡大できる」

 株などに投資すると、元本割れすることもある。その時点で慌てて売ると、それまでのもうけをはき出して損を抱えてしまう。損失が拡大しないようにいわゆる「損切り」が必要な場合もあるが、塚口さんは慌てずに我慢したほうが最後に得をすることが多いという。

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