「地方では1日2回以上、車に乗っていますね。こういう人は買っていい。週末しか乗らないなら、“買うな”です。カーシェアで十分なんですよ」

 街中で高級車を乗り回すことはステータスでもあるが──。

「ちょっと給料が上がると高級な外国車を買う。それは1500万円出して、毎年何十万円の維持費を払う権利を買ったようなものです。車を財産だと思っている人がいたら愚かですね」

 ただ、将来的には自動車の技術革新が不動産の価値をも左右する、と見込む。欧州ではフランス、イギリスの両政府が40年までにガソリン車、ディーゼル車の販売禁止を発表し、世界に衝撃を与えた。ドイツやオランダ、ノルウェーでも同様の動きがある。その背景には車の電動化、さらには「完全自動運転車」の開発がある。日本でも東京五輪の会場のバスやタクシーで採用される方向で技術開発が進められているという。

 たとえば、酒を飲んでも自動運転車に乗って帰れるかもしれない。「駅近」の評価が薄れ、駅から離れた空き家だらけの地域でも快適さが増すだろう。「自動車の技術と不動産の価値が軌を一にしている」という。(構成 本誌・上田耕司)

週刊朝日 2017年10月20日号