“松潤40%”で答えのない役に挑戦!?(※写真はイメージ)
“松潤40%”で答えのない役に挑戦!?(※写真はイメージ)

 2005年に島本理生が発表した恋愛小説『ナラタージュ』が映画化された。有村架純が演じるヒロイン、工藤泉が恋い焦がれる教師、葉山貴司役を演じた松本潤と、監督を務めた行定勲が、作品について、お互いについて語り合った。

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──『ナラタージュ』は行定監督がずっと映画にしたいと思いながら、その実現に10年以上かかった作品だと伺いました。

行定:そうです。一番の問題は、葉山先生が確定しなかったこと。松本君が乗ってくれたことで、この映画は動きだしたわけです。葉山って難しいんですよ。とっかかりのない役どころで、演じる人間によってまったく違うものになってしまう。松本君も最初、戸惑ってたもんね。

松本:戸惑ってましたね。基本的に泉の目線で物語が進んでいくし、葉山についてはほとんど描かれていない。何をイメージされて僕にお声がけくださったんだろうと思いました。行定監督とはプライベートでお会いしたことがありましたし、(プロデューサーの)小川(真司)さんともお仕事をしたことがありましたから、直接聞いてみないとわからないなと思って、お話を伺ったんです。それが一昨年の秋で、そこで行定監督に口説き落とされました。またうまいんですよ、監督のプレゼンが(笑)。

行定:でもね、必要だと思ったんだよね、松本君が。松本潤にしかできない芝居だった。もちろん芝居ってそういうものですが、他の人がやってもある程度同じものになる役もある。でも、葉山先生はそうじゃない。

松本:脚本を読んだとき、「これは完全に泉の物語じゃないかな」と思ったんですね。でも監督から、「葉山が出ていない場面でも、泉が見ている葉山が常に香ってくるような作品にしたい」という話を聞いたときに、おもしろいなと思いました。

行定:どんな葉山先生がいいのか、実は僕たちにも答えがなかったわけです。だからゼロから作っていくことになるんですが、松本君ならそれができるだろうと思いました。以前、松本君と会ったときにも、非常にクリエーティブな話をする人だという印象がありましたから。

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