ウェブ戦略のお手並み拝見
ウェブ戦略のお手並み拝見

 9月22日に公式ファンサイト「新しい地図」の開設を新聞の見開き広告で発表、大きな話題を集めた稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾の3人。その後、稲垣はブログ、草なぎがYouTube、香取がインスタグラムと、それぞれウェブを活用した活動も発表された。11月2日にはインターネットテレビ「AbemaTV」で、72時間連続の生番組「稲垣・草なぎ・香取 3人でインターネットはじめます『72時間ホンネテレビ』」を放送予定、3人が共演することも決まった。

 3人の新たなメディア戦略に、ある人気放送作家は、

「今まで活用してこなかったSNSを使った。彼らのプロモーションとしては一番キャッチーな形になったと思う」

 と言う。

「新しいことがスタートするんだという意識づけがうまくできたと思います。ファンにとっては、自分たちがやってほしかったことを3人がやってくれるかもという思いは強いでしょうね」(放送作家)

 3人が行動を共にすることにも期待感が高まっている。

「ファンは、仲間意識というか、一緒にがんばっている姿にキュンキュンするところがあるので、72時間の生放送など、絆があるんだと実感できたと思います」(同)

 上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)は、

「一方的に情報を発信するテレビに対して、双方向でコミュニケーションをとれるウェブというメディアが非常に有効であると判断したのではないかと感じました。自分たちが主体性をもってやりたいことができることは大きい」

 と分析する。

「彼らのファンの多くが、ウェブ、SNSを通じて彼らを応援する声を届けたということも、強く意識していると思います」(碓井教授)

 動画でのアピールといえば、くしくも小池百合子都知事も同時期に衆院選を見据えたメッセージ動画を配信し、大きな話題を集めた。偶然のタイミングとはいえ、

「同じ方向への流れが重なって、道が広がっていくケースもありますね」(同)

 ところで冒頭の新聞広告は、アナログメディアの代表のような存在であるが、それを選んだことも、彼らのメディア戦略のひとつではないかと碓井教授は言う。

「ウェブを使わない層のファンにも、僕たちはここにいるよ、元気でいるよと、実際に手に取れる形でアピールすることができた。メディアの向こうにいる受け取り手を考えた戦略、ここに、彼ら3人の優しさが表れています」

 3人によって芸能界におけるメディアのあり方が、一気に進化する可能性は高い。(本誌・松岡かすみ、太田サトル、秦正理、永井貴子/黒田朔)

週刊朝日 2017年10月13日号