都ファ代表も所属議員に諮らずに次々と入れ替えられてきた。こうした強権的な党運営が国政政党にも引き継がれたら……やはり、不安しか浮かんでこない。

 鳴り物入りで掲げた「脱原発」はどうか。小池氏は9月25日の結党会見で政策に「脱原発」を掲げた。直後に都庁で小泉純一郎氏と会談し、メディアも“小泉氏も新党参加か”と注目した。

 この一件、実は巧妙に演出された“小池劇場”だった。小泉氏周辺が明かす。

「実は25日の面談は小池氏の出馬とは関係ない。元々は小泉氏が顧問を務める市民団体のメンバーが、自然エネルギーの利用推進を促す建白書の提出を都ファに申し入れていた。すると1週間前に小池さん本人が会うと連絡があり、小泉氏や中川秀直氏らで行くことになった。車の中で小池氏の会見が流れて新党結成を知り、皆ビックリ。15分ほどの会談で小泉氏が『会見を見たよ。脱原発はいいことだ。頑張って』と声をかけた。選挙の支援要請はなく、それっきりです」

 小泉氏は9月27日の講演で「私は一切、選挙に関わらない」と明言。小池氏もその後、「脱原発」政策については具体的には語っていない。「脱原発」に消極的な連合、民進党との合流で、希望の党の「脱原発」も怪しくなったのか。小泉氏は昨年、本誌の取材で連合頼みの民進党をこう批判していた。

<連合の票を欲しがって、大事な決定ができない。(中略)一体、何を考えているのか疑問だ。ふがいないね>(2016年11月18日号)

 その民進党は枝野幸男代表代行が2日夕、東京都内で会見し、「立憲民主党」を結成すると表明。結成メンバーには、長妻昭元厚生労働相、赤松広隆元衆院副議長らが加わる見通しだ。

 民進党は前原誠司代表の主導で、全立候補予定者の希望の党への合流を目指したが、小池氏の「選別」発言を機に、希望合流組、立憲民主党組、無所属出馬組と3分裂することになった。小池氏が挑む「国盗り物語」の結末はいかに……。(本誌・小泉耕平、村上新太郎)

週刊朝日  2017年10月13日号より加筆