民進党両院議員総会を終えて会見に臨む前原誠司代表 (c)朝日新聞社
民進党両院議員総会を終えて会見に臨む前原誠司代表 (c)朝日新聞社

 民進党の前原誠司代表は9月28日の両院総会後の記者会見で「民進党にある98億円ともいわれる資金の運用は誰がやって、希望の党には提供するのか?」と問われ、こう答えた。

「もうちょっとありますけどね。その使い道についてはまったく決めていない」

 総務省が22日に公表した2016年分の政党交付金使途等報告書によると、民進党の政党交付金の繰越額は54億4200万円に上った。原則的には残金が生じた場合は国庫に戻さなければならないが、基金として銀行口座で管理すれば余剰金を「貯蓄」できる。

 そうして着々と積み上げた“資金力”はどれくらいあるのか。民進党は年間約90億円の政党交付金を受け取っているが、15年の政治資金収支報告書を見ると、党費や寄付なども含めた収入総額は227億円。支出を差し引いた16年への繰越額が140億円だから、同額前後の「貯蓄」はあると見られる。

 一方、希望の党は全国で候補者を擁立するには、資金不足が懸念されていた。衆院選に出馬する場合、小選挙区と比例区で重複立候補したら、600万円を法務局に供託しなければならない。

「小池さんが率いる地域政党『都民ファースト』は都議から月20万、政務調査費の名目で出させていたほど。希望だけで国政選挙を戦うとしても軍資金がぜんぜんない。候補者には600万円の供託金と選挙資金300万~600万円を用意するよう求めている」(同党関係者)

 また、希望の党は全国組織も持たない。民進党は各都道府県にある総支部数は494カ所、地方議員数も1553人を数える。希望の党は民進党との合流で、その資金力と組織力を得ることができるのだろうか。

 供託金は通常、党本部が工面し、民進党の場合も14年衆院選時に約6億6千万円を支出し、立候補予定者個人に公認料として500万円を支払っている。

「立候補予定者の離党に向けた段取りは執行部で詰めているところです。前原代表は選挙資金に困ることがないようにすると話しています」(民進党関係者)

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