「手術で入院が必要なケースはやむを得ませんが、今は在宅で肺炎や心不全などの病気も診られます」

 在宅医や訪問看護にみてもらっていなくても、かかりつけ医がいる場合は、その医師に訪問診療をしてもらえるか相談してみるのも一つの手だ。というのも、かかりつけ医のなかには患者の健康管理や介護保険の対応、在宅医療の提供などにも対応しているケースがあるからだ。肺炎など通院できないような病気にかかったときに、訪問診療を受けられる可能性がある。

 こうしたかかりつけ医との連携で防げるのは、不要な救急車の使用だ。急病のときには救急車をつい呼びたくなるが、病院に搬送されたら、そのまま入院させられてしまう。救急車を呼ぶ前に在宅医やかかりつけ医に連絡し、どうしたらいいか聞くことで、入院を回避できるかもしれない。

 予定入院の場合は、入院前に運動や食事で体力をつけておくことも重要。手術前からリハビリを受けることで、機能低下を緩やかにすることも可能だ。藤田保健衛生大学七栗記念病院(津市)院長で、回復期リハビリテーション病棟協会会長の園田茂さんが言う。

「例えば、がんの治療(手術、抗がん剤、放射線治療)では、治療前から予防的に理学療法士や作業療法士などによるリハビリを受けることが可能。ただ、こういう“がんリハ”を行う病院は多くありません(国立がん研究センターによると、がんリハがある病院はがん診療連携拠点病院など800施設ほど)。治療を受ける病院でリハビリ科の専門医がいるか、事前に調べておくとよいでしょう」

 がん以外の病気では、手術後すぐにリハビリを始めるのが一般的になってきているが、前述したように入院関連機能障害を予防、改善する取り組みが手薄になっている病院もある。その場合、患者や家族から医師や看護師に、「どこまで動いていいか」「どんな予防法があるか」などと聞くことが重要だ。

 その上で、万が一、入院関連機能障害が疑われたら、すぐに対策を取ること。

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