小池都知事と若狭氏(c)朝日新聞社
小池都知事と若狭氏(c)朝日新聞社
政党別獲得議席数予測
政党別獲得議席数予測
注目選挙区予測 1/4(週刊朝日 2017年10月6日号より)
注目選挙区予測 1/4(週刊朝日 2017年10月6日号より)
注目選挙区予測 2/4(週刊朝日 2017年10月6日号より)
注目選挙区予測 2/4(週刊朝日 2017年10月6日号より)
注目選挙区予測 3/4(週刊朝日 2017年10月6日号より)
注目選挙区予測 3/4(週刊朝日 2017年10月6日号より)
注目選挙区予測 4/4(週刊朝日 2017年10月6日号より)
注目選挙区予測 4/4(週刊朝日 2017年10月6日号より)

 約3年ぶりとなる10月22日の政治決戦はズバリどうなるのか。最後に笑うのは与党か、野党か。それとも小池新党なのか。政治評論家・小林吉弥氏、元共同通信記者でジャーナリストの野上忠興氏、選挙プランナー・松田馨氏の3人が予測した。

【図】政党別獲得議席数予測はこちら

 小林氏は総選挙の結果を「自民27減の259」と予測。公明は「2減の33」で与党292議席を獲得するものの、改憲発議に必要な3分の2には達しないと予測した。

  一方、松田氏は「自民は現有286議席から30議席以上減らして249議席となる一方、小池新党は74議席と躍進する」と予想する。

 自民党に対し、一番辛口だった野上氏は「野党共闘の進展具合や小池新党の姿が明確ではない」として各党の獲得議席数の明言を避けたが「自民は30~50程度減らす可能性がある」とし、公明は比例定数削減の影響も受け「3~4程度減」と見る。

 野上氏はその理由について、「アベノミクスの限界」と「昨年の参院選でも起きた農村・農協票の自民党離れ」を挙げる。

 自民党の不安材料はまだある。18年間、友党関係が続く公明党の微妙な自民党離れだ。与党関係者はこう解説する。

「今回、反自民で動く学会票も実は多くある。安倍首相の憲法改正論議にこれ以上、公明党が付き合わされたらたまらない、という空気が充満している。約750万票の学会票の動きをみくびっては困る。小池新党などとともに時と場合によっては反安倍に転じる可能性がある。ブラフ(脅し)と取られようが、安倍自民党には安保法案などこれまでさんざん足蹴にされたので、お灸を据えたい腹もある」

 では、小池氏の電撃的な代表就任発表で、今回の選挙で台風の目となりそうな小池新党はどうか。
「解散が急すぎて候補者の擁立に苦戦していましたが、小池氏が代表となり主導権を握ったことで一気に情勢が変わった。民進からの離党組だけでなく知名度のある新人の擁立も進むのでは。安倍首相VS小池氏という構図がどれだけマスコミで報道され、有権者に受け入れられるかによって、投票率も希望の党の議席も大きく変動するでしょう。東京、北関東、南関東では選挙区、比例区ともに躍進し、全国でも一定の議席を得るのでは。民進党を抜いて一気に第2党に踊り出る可能性も出てきました」

 3氏ともに決戦の勝敗を握る最大のカギになると指摘したのは、「野党共闘が成立するか」だ。小林氏はこう見立てる。

「前原誠司代表は目をつむってでも、共闘をせざるを得ない。やらなければ解党まっしぐらだ。共産も折れることがわかっているので、あうんの呼吸で形として野党共闘が成立すると、自民党は1人区で総崩れとなり、50議席近く落とす可能性が出てくる」

 野上氏も野党共闘についてこう分析する。

「民進・前原代表は表向き、共産との共闘について保守層に配慮した発言をしている。だが、共産党の志位和夫委員長とも通じる自由党の小沢一郎代表との関係を修復し、共産党との選挙区調整などで裏方役を託している。前原体制で小沢氏に近い松木謙公衆院議員を幹事長代理にしたのは小沢氏への橋渡し役なのは明白。旧民主党政権時代に小沢グループだった階猛衆院議員を政調会長、松野頼久衆院議員を国対委員長に充てた人事にも“小沢シフト”の一端が垣間見える」

 実際、9月20日開かれた松木氏のパーティーには前原、小沢両代表ら幹部が一堂に集結し、原口一博衆院議員が「9月28日までに民由合併で勝利を」と雄たけびを上げた。
 
 自民党選対が恐れるのは、政権から転落した2009年の悪夢の再現だ。自民党幹部がこう危惧する。

「09年の麻生政権末期で追い込まれ解散になった衆院選で共産党は野党共闘のため、約150人の候補者を降ろした。その結果、5千票差で負けたのが約20選挙区、1万票差で約20選挙区、1万5千票差で約20選挙区を落とす結果になり、1万~2万票の浮動票次第で比例区含め約80議席減らす最悪の結果になった。そのダメージ残像が今も消えない」

 では肝心の投票率はどうなるだろうか。

「戦後最低だった前回の52.66%を下回り、さらに50%を切る可能性がある。無党派層は北朝鮮情勢への不安から消極的支持で自民に入れるか、そもそも投票に行かないだろう」(松田氏)

 だが、この構図も小池新党の盛り上がり次第では投票率が上昇し、一変する可能性があるという。同様に小林氏も低投票率を懸念する一方で、「組織政党有利に捉えられるが、無党派層や女性票は反自民に向かうのではないか」とも言及する。

 安倍政権の“寿命”を決めるこの選挙。果たして有権者はどう動くだろうか。
(本誌取材班=村上新太郎、亀井洋志、小泉耕平)

週刊朝日 2017年10月6日号