津田大介「メディア統制の手段にもなる電波オークション」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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津田大介「メディア統制の手段にもなる電波オークション」

連載「ウェブの見方 紙の味方」

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津田大介(つだ・だいすけ)/1973年生まれ。ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。ウェブ上の政治メディア「ポリタス」編集長。ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られる。主な著書に『ウェブで政治を動かす!』(朝日新書)

津田大介(つだ・だいすけ)/1973年生まれ。ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。ウェブ上の政治メディア「ポリタス」編集長。ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られる。主な著書に『ウェブで政治を動かす!』(朝日新書)

 放送局や政府には大きな収入がもたらされ、使いやすい電波帯を買ったT‐モバイルにとっても今後投資以上の収入が見込める。有効利用されていない周波数帯をオークションにかけることは、経済原理的には当然の流れだ。

 これに対し、日本の政府が通信事業者や放送事業者から徴収している電波利用料は年間約750億円。電波の市場価値から考えるとかなり安価に設定されているため、事業者の既得権となっている。

 実は日本でも2012年3月に、次の割り当てから電波オークションを導入することを閣議決定したことがある。ところがこのときは野党だった自民党と総務省の猛反対にあって、法案そのものが立ち消えになってしまった。

 第2次安倍政権が誕生した直後の13年にも導入が規制改革の一環として議論の俎上(そじょう)には上ったが、国会で審議されることはなく現在に至る。

 テレビ事業がジリ貧になり、今後を見据えてマルチメディア事業を展開したい放送局にとって、豊富な資金力を持つ通信事業者や外資などが参入可能になる電波オークションは何としても阻止したい。

 一度は自ら潰すことで放送局に大きな恩を売った現政権が、突如導入を持ち出した(そしてそれを政権に近いとされる産経新聞のみが報じている)ことには、経済的な面から放送局に揺さぶりをかけたい思惑が透けて見える。電波オークションは時代の流れとして導入すべき制度だが、同時に日本では「政権のメディア統制」という文脈があることも踏まえて議論しなければならない。

週刊朝日 2017年9月29日号


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津田大介

津田大介(つだ・だいすけ)/1973年生まれ。ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。ウェブ上の政治メディア「ポリタス」編集長。ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られる。主な著書に『情報戦争を生き抜く』(朝日新書)

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