桐島:そうそう。クリスマスの彼は通産官僚で、何とか奥さんと別れて、私と一緒になろうと努力したんだけれどね。かなり堂々と付き合ってたので、スイスに飛ばされちゃったのよ。だから私はしょっちゅうスイスに行ったわよ。

かれん:私たちも連れていかれたな(笑)。

林:その方、ご存命ですか。

桐島:ううん、亡くなった。男は全滅です。

林:そのあと勝見さんとご結婚なさったんですね。私も勝見さんと親しくさせていただいて、上海、北京、バンクーバー、パリに連れていっていただいたのがいい思い出です。パリで素晴らしい体験をしたのは財産だと思っています。あんな下町、誰も連れていってくれませんよ。

桐島:勝見が案内したのね。パリも中国も、彼に任せるとぜんぜん違いますよね。

林:勝見さんは森羅万象、何でもご存じでしたよね。

桐島:いい相棒でした。でも、子どもたちとは相性が悪くてね。

林:離婚されてもずっと仲良くされて、偲ぶ会も桐島さんが全部仕切られましたね。別れた旦那さんと仲良くしているだけでも驚異なのに、「最後までいい仲間だったから」と。

桐島:そうそう。

林:昔、勝見さんに「桐島さんのどこにひかれたんですか」って聞いたら、「ホンモノは一目見ればわかるでしょう。僕は骨董屋だよ」って。

桐島:あ、ほんと? カッコいいこと言うわね。私より12歳も年下なんだから、ちゃんと看取ってくれるのかと思ったら、向こうが先にサッサと逝っちゃうんだから、ズルいわ(笑)。あなたのご主人、勝見が生きていたときはときどき遊びに来てくださったみたいね。

林:2人でおすし屋さんに行ったりしていたから、亡くなってすごくショックだったみたい。今にも勝見さんが「おう、来てたの?」とそこのドアから入ってきそうな気がします。

桐島:1年に1度でいいから、現れてほしいわ。

週刊朝日 2017年9月29日号より抜粋