では、爪に縦線がある場合はどうか。

「ストレスなどで老化が進み、淤血(おけつ)の状態です。血と気の流れが悪いときに出る線です。寝不足のときもそうなります。ほら、私もちょっと出ていますね(笑)。線が黒くどんどん濃くなったり、太くなったりしていくと、免疫力が低下して重い病気になっていることが多く危険です。西洋医学でいう、がんの可能性があるということです」(同)

 爪で健康度をみる際は、色が大切という。白ければ虚血、黒いと淤血。紫色ならば肝や腎の病か冷え。黄色は黄疸、灰色は爪白癬の可能性がある。赤いと熱が強い状態で、西洋医学でいう血圧が高い状態だ。

「東洋医学では、血圧が高いというより『熱が強い』と表現します。爪の赤色は心と関係します。また、爪の横がへこんでいれば、気血の不足(気血両虚)です。きれいなカーブを描き、触ってつるんとしている爪が健康です」(同)

 赤ちゃんの爪は凹凸がほとんどなく、つるんとしている。理想的な爪といえそうだ。
 表面がザラザラしているところがあれば押してみよう。痛い箇所があれば、どこか悪いところがあるサイン。

「風邪や気管支ぜんそくの人は、親指の爪を押すと痛いですよ」と船水氏。

 体の末端の小さな部分に体の状態が表れるとは。ならば、爪を刺激すれば、体にも良い気がする。

「そのとおりです。爪周りのツボを刺激すれば、気の巡りが良くなります。空いた時間に爪を押すのを習慣づけると違いますよ。押すときは上から爪全体に圧をかけつつ、挟む。爪の角にツボがあります」(同)

 押してみて、ある部位だけ痛いと、体からの何らかの危険信号だ。早めに察知したい。
 積極的に押したいのは、「薬指」。押すと、他の指より刺激を感じる人が多いのでは。ストレスや気血とも関係する指だからだ。

「薬指を押して痛かったら、ストレスがたまっている証拠。免疫力を上げるには薬指を押すといいです。中指はリラックスのツボ。面接前などに押すとよいでしょう」(同)

 爪は面白い。爪を整えると、歩き方も変わり、病気も予防できて健康維持につながる。爪って、やはりすごいのだ。

週刊朝日 017年9月29日号