「インコースに対するバットの軌道をしっかりと作れていたのが安田(尚憲=履正社)君です。大会中の彼はホームベースから離れて立つようになった。打席での立ち位置を修正し、インコースをうまくさばいていた。木製バットへの対応力は安田君が一番でしたね」

 スーパーラウンドのオーストラリア戦。サヨナラ打を放った安田は、初回に痛烈な右前安打、さらに4回には右翼線へ適時二塁打を放った。その2本の右方向への打球こそが、対応力の高さを証明するものだ。

 投手で評価を上げたのは左腕の田浦文丸(秀岳館)だろう。9試合中6試合に登板して29奪三振。先発した韓国戦以外は無失点という安定ぶりだった。前出のセ・リーグのスカウトは言う。

「最大の特長はストレートと同じ腕の振りで投げ込むチェンジアップ。アウトステップで右肩が開き、チェンジアップは抜けグセがあったんですが、今大会では修正していた。海外のパワーヒッターに対してうまくマッチした印象です。度胸はあるし、実戦派の投手ですね」

 大学進学希望者が多い今大会のメンバーの中で、安田、田浦らはプロ志望届を出す予定(9月14日現在)。「清宮次第」と言われるドラフト会議では、再評価された彼らの動向も大いに注目を集めそうだ。

週刊朝日  2017年9月29日号