そんなときは、「転んで危ないから片付けましょう」「いつまでも長生きしてほしいからお医者さんに行きましょう」などと、気遣いの言葉をかけてください。

 少しでも異変に気づいたら、親の自宅近くの地域包括支援センターに相談しましょう。ゴミ出しの方法が難しくて一人でできなければ、介護保険サービスでヘルパーに入ってもらうことや、定期的に見守り対象にしてもらうほか、ゴミの戸別収集をしてくれるケースもあります。

 ゴミ屋敷になるまで放っておくと、撤去費用や家の原状回復費用などが大きくなります。娘や息子の世代にも負担が及ぶ可能性もあります。そうならないため、普段から親とのこまめなコミュニケーションが大事です。

 ゴミ屋敷条例の制定など、自治体の対策もようやく広がってきています。

 東京都足立区は、ゴールをゴミの片付けだけでなく生活再建に置いています。専門部署を設けて相談窓口を一本化し、医療や福祉へとつなげています。

 東京都北区は、「サポート医」制度を設けています。地元医師らが区の非常勤職員として、介護や医療を受けていない一人暮らしの人を訪問。認知症の有無の確認や、介護保険に必要な意見書作成などをしているそうです。これらの取り組みは、ほかの地域でもお手本になると思います。

週刊朝日 2017年9月22日号