F-TULを複数回おこなうことで、サンゴ状結石を排石する治療法もある。


 堀亮二さん(仮名・42歳)は4年前、人間ドックで腎臓に大きな結石があることがわかり、国際医療福祉大学三田病院を紹介された。右の腎臓に45ミリの石があり、水腎症も起こしていたが、自覚症状はなかったという。

 尿路結石症診療ガイドラインでは20ミリ以上の結石はPNLでの治療が基準となっている。しかし堀さんを診た同院尿路結石破砕治療センター長の荒川孝医師は、仕事をできるだけ休みたくないという要望を考慮して、f-TULを複数回おこなう治療をすすめた。

 f-TULの入院期間は2泊3日と短くてすむ。堀さんは、1回目の手術で約50%を排石できた。しかし尿路結石のほかに、中性脂肪値や尿酸値が高く肥満もあって、治療が必要な状態だった。尿路結石は生活習慣病の一つといわれるほど、生活全般の影響を受けやすい。高尿酸血症や脂質異常症も悪影響を及ぼすとされている。堀さんは2回目の手術を待つ間に、これらの病気の治療を開始した。

 そして1回目の手術から4カ月後、2回目を実施。さらに取りきれなかった石については10ミリ未満の小さなものだったので、2カ月後にESWLをおこなって完全に排石することができた。発症から4年たつが半年ごとの定期検診は欠かさず、再発もない。生活習慣病も徐々に改善されている。

「ESWL、TUL、PNL、それぞれの適用を見極めて柔軟に組み合わせることで、安全により高い効果を得ることができます。適切な治療を受けるために、ぜひ尿路結石を積極的に診ている泌尿器科を受診してください」(荒川医師)

 尿路結石の再発率は5年間で約45%といわれる。再発予防には生活習慣の改善に加え、1日2リットルの水を飲むことがすすめられる。麦茶やほうじ茶でもOKだ。

「尿路結石は良性疾患ですが、大きいものほど無症状です。気づかずに水腎症が進行すると、たとえ排石しても腎機能がもとに戻らないこともあります」(同)

 尿路結石=激痛と思い込まず、結石があると言われたら、無症状でも一度は尿路結石を専門とする泌尿器科を受診して、自分の石がどのような状態なのかを把握し、必要ならば治療を受けることが大切だ。

週刊朝日 2017年9月15日号