現代の巨匠“クロサワ” 長澤まさみを「実は芝居がうまい」と絶賛

「回路」「トウキョウソナタ」「岸辺の旅」。カンヌ国際映画祭では3作品で受賞歴があり、世界にファンを抱える巨匠、黒沢清監督。最新作「散歩する侵略者」の公開を控え、作家・林真理子さんとの対談にお越しくださいました。

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林:(「散歩する侵略者」では)長澤まさみさん、旦那さん(松田龍平)が変になっていくのが腹立たしくてしょうがないけど、そのうちに異星人を守るという心の変化をこまやかに演じていますよね。失礼ですけど長澤さん、あんなに演技がうまいとは思わなかったです。

黒沢:長澤さんって、実はすごく芝居うまいんですよ。ただ、すごく美人でスタイルがいいから、見る人がそれに目を奪われて、演技の実力にまで意識が向かない。ちょっと損をしている感じがしました。もう少し年を重ねると、彼女の人生で培ってきた濁りみたいなものが出てきて、素晴らしい女優になると思います。

林:全体的にゾクゾクする雰囲気ですが、松田龍平さんの黄色い車、とてもイヤな感じですよね。映画「シャイニング」の車も黄色だったけど、黄色は狂気の色みたい。

黒沢:なるほど。不気味さを狙ったんじゃなくて、ちょっと洒落たセンスとして、「絶対黄色の車にしてくれ」と指定したんですけどね。

林:監督、お話しするとやさしそうですけど、撮影中はコワいんですか。

黒沢:まったくコワくないです。いちばん目立たない。

林:怒鳴ったりとか……?

黒沢:そんな、めっそうもない(笑)。

林:怒鳴る監督さんもいらっしゃるでしょう?

黒沢:それはもとからそういう性格の人なんです。引っ込み思案でウジウジしてる人は、そのままウジウジと監督するんです。性格は変えられないですね。

林:今年のカンヌ映画祭では、「ある視点」部門でこれが上映されて、すごく手応えがあったそうですね。

黒沢:まあそうですね。でも、それはそれですけど……。

林:「ある視点」という部門は、コンペティションとは別なんですか。

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