他社に先駆けて健康経営に取り組む花王は、健康保険組合と協力して健康づくりの数値目標などを定めている。目標達成のツールの一つが「健康マイレージ」。柳内佳子・健保組合常務理事は「健康づくりに意欲的に取り組む人にインセンティブを与え、より健康になってほしい」と話す。

 健保組合は従業員の治療費負担だけでなく、保険料を健康な人にも多く使うことになる。「治療から予防へ」の意識の転換だ。

 従業員は自らの目標を立てると300ポイント、ウェブ上に体重などを記録すると毎日5ポイントといった具合にためる。健康関連グッズやレジャー用品などと交換できる。

 花王によると、16年度は1325人が交換。積極的な人は年7千~8千ポイントをためる。体温計や体重・体組成計などが人気で、「高額商品ねらいでためる人と、少額ポイント商品で交換を楽しむ人とに分かれる」(広報部)という。

 意識の高まりもあって、会社全体で取り組むウォーキングイベントは参加者が年々増加。参加者の4割近くは体重が減り、9割近くは歩くことが習慣化した。

 大和証券グループ本社は、08年のメタボ健診(特定健診・特定保健指導)義務付けを機に、健康経営に本格的に取り組み始めた。10年にウォーキングと禁煙チャレンジ、11年に腹八分目キャンペーンなどイベントを次々に展開し、従業員の意識を高めた。

 全社員を対象に昨年11月から「KA・RA・DAいきいきプロジェクト」を始め、健康リテラシー講座などを新たに設けた。社員の参加状況に応じてポイントをつけ、健康飲料やグッズなどと交換できる。安藤宣弘・健康経営推進課長は「若年層などの『健康無関心層』を取り込み、グループ全体でより健康意識の向上を図りたい」という。

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