「私はがんをきっかけに、いらないものは手放して、何か新しいことを始めたいという気持ちになった。これまでの男に振り回されてきた時期、お酒に飲まれていた時期、いろんなことに無理していた時期……その全部がつながって、私のがんになったんだと思います」

 どこか吹っ切れたような表情で、闘病について話す内田さん。それでも恋愛については、実は複雑な心境のようで、闘病体験を話すうちに本音が見え隠れした。

「望まないというより望めないというか。もう恋愛できないんじゃないかって思ってるんです。ナンパされるとか表面的なことじゃなくて、その先。例えば、セックスできるか。『ちょっと珍しい体ですけど、いいですか?』と相手に打ち明けて、『大丈夫』と言ってくれる人が見つかるのかな。自信がないのかも」

 内田さんは恋多き人生を送ってきたため、誤解されることも多いが、恋愛では一方的に頼ったり、頼られたりするのではなく、相手と対等な関係を築くことを大切にしたいという思いが強い。がんという経験を経て、自分自身をより深く理解したいま、「対等な相手」が限られてくるのは当然のことかもしれない。

 とはいえ、内田さんの「らしさ」は変わっていない。がんになる前と同様に、漫画に俳優にミュージシャンにと、多忙な日々を過ごしている。

「今は、病気をネタにできるくらい、元気ですよ。私なりのがんとの向き合い方を、真正面から伝えられたらいいなと思っています」

 内田さんのがん闘病コミックエッセー『がんまんが~私たちは大病している~』(ぶんか社POP)は、現在電子書籍のレンタルサイト「Renta!」で配信中。がん発覚から入院・手術に至るまでのいきさつ、子供4人との日々などが赤裸々につづられている。

週刊朝日  2017年9月15日号より抜粋