開催が近づくにつれ、特需が期待されるのがスポーツ用品の販売店だ。活躍しそうな選手がメディアに取り上げられると、その選手が使っているスポーツウェアや道具も売れるようになる。スポーツに関心が高まることで、ランニングを始めたり、スポーツジムに通い始めたりする人も出そうだ。

 昨年のリオ五輪ではゴルフが新種目に採用され、人気が高まった。東京五輪でも日本人選手が活躍しそうで、人気に再び火が付けば、ゴルフ用品販売店を展開するアルペンやゼビオホールディングスの売り上げ増も期待できる。

 ランニングシューズなどのスポーツ用品大手、アシックスは、株価が足元でやや下げているため買い場を探るチャンスだ。

 開催時には多くの外国人が東京に集まってくる。訪日客を当て込んだ「インバウンド関連銘柄」にも改めて目が向けられることになるだろう。

 航空会社のANAホールディングスや、JR東海のほか、KNT-CTホールディングスやエイチ・アイ・エスなどの旅行会社が物色の対象だ。旅行会社は、国内外の「五輪ツアー」も取り扱うことになる。

 ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは、

「観光客が増えれば、ホテルや旅館向けにクリーニングやメンテナンスを手がける企業の需要も広がるでしょう。開催会場周辺のレジャー施設や飲食チェーンなどにも恩恵がおよびそうです」

 と指摘する。

 カジノを含む統合型リゾート(IR)は、実現すれば訪日客の人気スポットになることが期待されている。ゲーム機や紙幣処理機のメーカーにも波及効果がありそうだ。

 国内ダントツの大手広告会社でテレビの放映権や関連イベントを握る電通も外せない。違法残業の不祥事で揺れたこともあり17年12月期は営業利益の予想を下方修正したが、12年のロンドン五輪では約150億円を稼いだとされる。自国開催ではより大きな受注が期待できることから、「株価の下がった今こそ買っておくとよい銘柄の一つ」(株式市場関係者)だろう。

次のページ