「遠山の金さん」が約10年ぶりに復活する。大役・遠山金四郎に抜擢されたのはTOKIOの松岡昌宏(40)。TBS系の「ドラマ特別企画 名奉行!遠山の金四郎」(9月25日夜8時~)で演じる。脇を固めるのは、稲森いずみや加藤雅也、北大路欣也らだ。

 説明するまでもないが、「遠山の金さん」は、時代劇の古典とも言うべき正統派キャラクター。映画では東映系で片岡千恵蔵が主演したシリーズが知られる。テレビではテレ朝が長年「金さん」を主役にした作品を放送したほか、日テレやTBSも制作。テレ朝系では中村梅之助、杉良太郎、高橋英樹、松方弘樹ら、TBS系では西郷輝彦や里見浩太朗が桜吹雪を背負った。

 松岡はキャスティングについての驚きをこう語った。

「誰もが知っている遠山金四郎役を僕が演じるとは夢にも思っていなかったので、ウソだろうというのが話を聞いての第一印象です」

 松岡は16歳のとき、松方弘樹主演の「大忠臣蔵」で初めて時代劇に出演。その後も大河ドラマ「秀吉」の森蘭丸役や「武蔵 MUSASHI」の佐々木小次郎役を演じたり、「必殺」シリーズに長く出演したりと、時代劇のキャリアは長い。自ら「時代劇ファン」を公言しており、刺青を披露する「お白洲シーン」を撮り終えたあとには、「うれしくて久しぶりに写メを撮りました」。

 時代劇研究家のペリー荻野さんは言う。

「杉さんは『怒りの金さん』、松方さんは『大人の色気金さん』といったように、演じる人によって個性がある。松岡さんは『若々しい金さん』を楽しませてくれるのではないでしょうか。ジャニーズの運動神経で魅せる立ち回りも楽しみです」。

 昨今、地上波での時代劇の放送は減少の一途をたどっている。2011年に42年間続いた「水戸黄門」シリーズが打ち切られ、昨年には28年間続いた「鬼平犯科帳」が終了。「金さん」もテレ朝で最後に放送されたのは、約10年前だ。時代劇が地上波から次々と姿を消した背景には、高い制作費の割には視聴率につながりにくく、その少ない視聴者も高齢化しているため、スポンサーの確保が難しい現実がある。

 前出の荻野さんはこう期待する。

「『金さん』の世界では、わかりやすい勧善懲悪が楽しめる。松岡さん目当てで番組を見た若い人も、痛快さにハマるのではないでしょうか。これを機会に、ぜひシリーズ化してほしいですね」

 松岡の「金さん」は、時代劇復権の救世主になるのだろうか?(本誌・直木詩帆 )

※週刊朝日オンライン限定記事