苅尾医師らの研究によると、診察室での血圧が正常でも、早朝血圧が高い人はそうでない人に比べて血管イベントのリスクが約2.5倍高かった。

「特に気をつけたいのが、10月の4週目以降です。冬場は脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まりますが、それに加えて早朝の血圧が高い人は、急激に血圧が上昇します」(同)

 住宅の断熱機能と血圧の関係を調べた調査では、断熱機能が低い場合は、平均血圧が高いことが明らかになっている。

「暖房が完備されている北海道よりも、北関東のほうが、血管イベントの死亡率が高いというデータがあります。寒さに強く反応して末梢(まっしょう)の血管が閉まるタイプの人がいて、こうした人は特に朝に注意が必要です」(同)

 朝の血圧は自分で測らなければ医師は予測できない。朝起きたら血圧を測る習慣をつけよう。「血管イベントの予防は一日にしてならず」と苅尾医師は話す。

「血圧は年齢や気温、時間帯、起立したときなどで変化しています。さらにさまざまな引き金があります。それぞれがずれていればいいのですが、あるとき、一気に悪い条件が重なって起こるのです」

 引き金になり得るものを一つでもなくせば、突然死のリスクは減らせる。自分自身で症状を見逃さずに予見することが重要だ。

週刊朝日 2017年9月8日号