生まれ変わった名盤 ボブ・マーリー『エクソダス40』のトリセツ (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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生まれ変わった名盤 ボブ・マーリー『エクソダス40』のトリセツ

連載「知新音故」

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小倉エージ週刊朝日

ボブ・マーリー (c)Fifty-Six Hope Road Music,Ltd.PC Adrian Boot

ボブ・マーリー (c)Fifty-Six Hope Road Music,Ltd.PC Adrian Boot

ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ『エクソダス40』。パンクに大揺れだったロンドンで録音された名盤が一新された

ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ『エクソダス40』。パンクに大揺れだったロンドンで録音された名盤が一新された

ディスク3のライヴ音源には、未発表トラック7曲が収録されている

ディスク3のライヴ音源には、未発表トラック7曲が収録されている

 ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの『エクソダス40』に打ちのめされた。1977年に発表された名作『エクソダス』の40周年の記念盤。オリジナル盤(ディスク1)のほか、息子のジギー・マーリーがオリジナルを再構築した『エクソダス40』(ディスク2)、77年のロンドン公演を収録したライヴ盤(ディスク3)も加わったCD3枚組みだ。

 ボブ・マーリーは73年、ザ・ウェイラーズとして『キャッチ・ア・ファイアー』で世界デビューした。半年後に発表した『バーニン』の収録曲「アイ・ショット・ザ・シェリフ」をエリック・クラプトンがカヴァーして大ヒット。それを契機に、ボブ・マーリーやジャマイカ産のレゲエの存在が世界的に知られ、とくに英米で人気を集めた。その評価は、彼の死後も変わらない。

 数多いアルバムの中で最も高く評価されているのが『エクソダス』だが、その背景には、ジャマイカの2大政党の抗争に巻き込まれ、76年に暗殺未遂に遭うという出来事があった。

 銃撃され、一命はとりとめたが、身の危険を感じ、バハマへ脱出。家族やメンバーと合流後、翌年初めにロンドンに向かう。そこで取りかかったのが『エクソダス』だった。

 タイトルにはジャマイカから脱出した体験が反映されているばかりでなく、虐げられていたイスラエル民族を率いてエジプトからシナイ山へ至る行程を記した旧約聖書『出エジプト記』にちなんでいるに違いない。

『エクソダス』のA面は、“今こそ 僕たち一人一人が 現実を見つめる時がきた”と歌われる「ナチュラル・ミスティック~自然の神秘」で幕を開ける。政治的な計略にとらわれたジャマイカの若者への警告の意味を込めた「ソー・マッチ・シングス・トゥ・セイ」、政治家への不信をあらわにした「罪」、平等を求めて闘う者を支持する「異教徒」。表題曲の「エクソダス」ではどんな犠牲を払ってでも権力者の迫害に立ち向かい、今こそ行動を起こす時だと訴えた。

 どの曲にも、攻撃的で強烈なメッセージが込められていたが、曲調は穏やかでダークだった。


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