頭がいいと評判の人が、頭の悪そうな答弁をするのは、プライドが許さないんじゃないか? 前法務相の金田勝年さんみたいな真似はできまい。

 林さんはこれから先、自民党を支えていく人だといわれる。そんな人が、自分の評価を落としてまで、安倍さんのため、わざと頭の悪そうな答弁をくり返すか?

 小野寺防衛相と林文科相は、岸田派。今回、岸田派の入閣は2人も増えた。そして、岸田文雄さんは党政調会長に。改憲に対し、慎重な岸田さんが力をつけたのも悪くない。

 まあね、内閣人事を少しくらい弄(いじ)っても、肝心の親分が代わらなきゃどうにもならん、という意見もある。

 が、対抗する最大野党の民進党の現状がアレだもの。代表は枝野さんか前原さん、代表選はやる気があるんだかないんだかノロノロと9月。どう考えても劇的な変化など起こりそうもない。それなら、自民党のいっちょ揉めそうな人たちに、少々期待してしまうのも致し方なかろう。

週刊朝日  2017年9月1日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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