墓石を自宅に設置する「自宅墓」もある。「かねみつ石匠」(岡山県笠岡市)の代表は自身が父と母を送った後に、「近くにいてほしいから」と骨壺と墓石が合体した商品を開発。人気は32×32×39センチサイズで、高さ18センチの骨壺が入る。仏壇とセット(税込み42万6千円)でも販売している。自宅墓は、リビングルームなどどこにでも置けるので、故人をいつも近くに感じられる。ただ、自宅の庭に設置となると、墓地埋葬法に抵触する。「墓石を自宅の庭に置く分には問題ないが、そこに遺骨が入っていればNG。埋葬はできないのです」(厚労省担当者)。つまり遺骨が入った「自宅墓」は庭には置けない。

 実施回数はそう多くないが、偏西風に乗って世界を何周もする「バルーン宇宙葬」がある。2~2.5メートルの巨大な風船に遺灰を詰め、地上35キロメートル付近の成層圏で拡散し、自動的に散骨させる。空中を漂い、自然に返るイメージだ。「バルーン工房」(本部・宇都宮市)によると、6年間で200件ほど実施し、生前予約者は80人ほど。

 墓じまいした女性が選んだ手元供養のダイヤモンドは遺骨の中に含まれる炭素を取り出して作る合成のもので、遺骨を全部使う。墓を持たずに、遺骨の置き場に困っている人の需要に合う。

 大切な人がいつもそばにいる感覚は強いだろう。

週刊朝日 2017年9月1日号より抜粋