「ハウスボートクラブ」(東京都江東区)は、合同乗船散骨や、散骨を行った海域へお参りに行くメモリアルクルーズなどを企画、販売している。海にゆかりのある故人にとっては、最高の人生の終わり方だろう。しかし遺族が心を痛めるケースもある。というのも故人が海のどこに眠っているのか特定しにくい上に「会いに」行きにくい。そのため、「くれぐれもお骨を全部散骨しないように」と、高齢者の生活問題や葬送問題を研究する第一生命経済研究所の主席研究員・小谷みどりさんは助言する。

『これからの死に方』の著者で、生命倫理研究者のぬで島次郎さんはこう話す。

「業者に骨を送って撒いてもらうというのは、弔いにならず遺族の心にもしこりを残してしまう恐れがあるので、できれば遺族が自分で遺骨を細かく砕き粉状にして、溶ける繊維の袋に入れ、ゴミを増やさぬよう最小限の花と一緒に、自らの手で撒くのが理想です。業者任せの散骨は、単なる廃棄物処理になってしまうのでは、と私は恐れます」

「市民葬儀相談センター」によると、散骨を嫌がる家族も多く、代わりに樹木葬が増えてきたという。中でも「ガーデニング型プレミアム樹木葬フラワージュ」が人気だ。琉球ガラスの骨壺に入れて花壇の下に埋葬する。フラワージュを販売する「松戸家」(東京都小平市)によれば2年前に販売を開始し、全体で1千霊位以上受注した。ペットと入ることもできる。平均価格は25万~40万円。最近は「夫と同じ墓に入りたくないから」と申し込む人もいるという。

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