放送作家でコラムニストの山田美保子氏が楽屋の流行(はや)りモノを紹介する。今回は、「オシャレなルーペ」について。

*  *  *

 中年以上の人々が集まると必ず繰り広げられるのが老化にまつわるトーク。それは芸能人とて変わらない。ヒザ痛や動悸、息切れをカミングアウトするのは少々勇気が必要だが、気軽に話せるのは老眼ネタだろう。

 先日、登壇したコンタクトレンズの新製品発表イベントで老眼の悩みを告白したのは藤原紀香。視力が良くてケニア人が驚くほど「遠くのライオンが見えた」のも今は昔で、最近は、台本などを離して見る老眼特有のポーズをとってしまうことも多いのだそうだ。

 が、老眼は、彼女の美貌や、あくなき美への追求や努力に傷をつけるようなものとはならなかった。

 一方、明石家さんまが件のポーズをとった際、「大きなショックを受けた」と嘆き悲しんでいたのは、中堅芸人たち。

 男女問わず、若々しく見えるアラフィフ、アラ還芸能人にとって、老眼とオシャレに付き合うことは大きな課題である。

 そんな折、トップモデルとして40年以上も活躍し、今もプラチナ世代向け商材のCMや雑誌広告から引っ張りだこの久保京子が洒落た眼鏡型ルーペをプロデュース。オシャレ有名人から問い合わせが殺到している。

 レストランのメニューや、コスメの説明書、服のタグをチェックするときなどに「身のこなしの邪魔にならない」ことを第一に考えられた「CHOU CHOU」だ。

 バッグからケースを取り出し、パカッと開けて眼鏡を指でつまんで、かけて……という仕草は確かにエレガントからは程遠いものだ。

 特に女性の場合は、意外に嵩張る眼鏡ケースのために大きなバッグでお出かけするというのも憂鬱。愛用の老眼鏡のフレームのカタチや色が、その日のファッションにマッチしているとも限らない。そのストレスは、オシャレに重きを置く人にとっては厄介だろう。

 そんな悩みを一気に解決してくれそうなのが久保京子の洗練された美意識から誕生した「CHOU CHOU」なのである。

 重さや薄さは櫛ぐらい。フレームの色が表と裏で異なっているので、服装や気分に合わせてどちらも使え、とにかくオシャレだ。

 眼鏡フレームの生産地として有名な福井県鯖江市の職人が一つ一つ丁寧に手作りしているので品質も確か。あの元大臣の効果はイマイチ不明だったが、これまでプロデュースしたりデザインしたりした商品が大売れしている“久保京子効果”は絶大だ。「楽譜をオシャレに見たい」という大物歌手からの注文も入ったそうである。

週刊朝日  2017年8月18-25日号より抜粋

著者プロフィールを見る
山田美保子

山田美保子

山田美保子(やまだ・みほこ)/1957年生まれ。放送作家。コラムニスト。「踊る!さんま御殿!!」などテレビ番組の構成や雑誌の連載多数。TBS系「サンデー・ジャポン」などのコメンテーターやマーケティングアドバイザーも務める

山田美保子の記事一覧はこちら