夏の甲子園 大会第4日は夏日本一経験校ずらり (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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夏の甲子園 大会第4日は夏日本一経験校ずらり

佐々木亨週刊朝日#高校野球
中京大中京時代と現在の河合完治(撮影/朝日新聞出版写真部、顔写真撮影/佐々木亨)

中京大中京時代と現在の河合完治(撮影/朝日新聞出版写真部、顔写真撮影/佐々木亨)

興南時代と現在の我如古盛次(撮影/朝日新聞出版写真部、顔写真撮影/佐々木亨)

興南時代と現在の我如古盛次(撮影/朝日新聞出版写真部、顔写真撮影/佐々木亨)

大阪桐蔭時代と現在の福島由登(撮影/朝日新聞出版写真部、顔写真撮影/佐々木亨)

大阪桐蔭時代と現在の福島由登(撮影/朝日新聞出版写真部、顔写真撮影/佐々木亨)

「雑音や情報が入ってこなかったのがよかったと思います。相手投手の球がいくら速くても、遠くへ飛ばす打者がいたとしても、対戦するまで情報がないから気後れしなかった。監督からは『他人の期待はあるけれど、自分たちはブレてはいけないよ』と常々言われていましたし」

 アルプススタンドに流れる"沖縄の風"が試合を追うごとにチーム力を高めてくれた、とも我如古は思っている。

「沖縄の高校球児にとって、あの応援は憧れであり、甲子園を目指す一つのモチベーションなんです。甲子園で勝ち上がるたびに、より一層、応援は大きな力になっていきました。あの夏、僕らは沖縄代表としての大きな誇りを持って戦っていました」

 立教大を経て東京ガスに入社し、今年で3年目のシーズンを迎えた。「入社以来、ここまで確かな結果を残していない」。今シーズンも代打での出場が多い。野球人としての我如古は、もがき苦しんでいる。

「いずれはチームの軸となり、戦力となって大舞台に立ちたいと思いますが、今はチームから期待されるところで、高校時代と変わらないフルスイングを見せていきたい。あの甲子園があったからこそ、今こうして野球をやらせてもらっていると思います。どこかでチャンスは来ると信じ、もう一花、咲かせたいですね」

 プライドは決して失ってはいない。

■王者・大阪桐蔭の礎を築いた 甲子園優勝投手の野球人生
大阪桐蔭→Honda 福島由登(27)

「もう、ええわ……」

 内心ではそう思った時期があった。過去を照らし続ける光が「好きじゃなかった」。背負い続けなければいけない甲子園優勝投手の肩書を誇りに思う一方で、その重圧が煩わしいときもあった。

「大学(青学大)のときは大阪桐蔭時代の取材が嫌いでした。でも、昨年ぐらいからそう思わなくなった。大人になったんですかね」

 5月で27歳になった福島由登は、ほおを緩める。

 社会人野球のHondaでプレーして5年目となり、夢見る頃は過ぎた。ドラフト候補と言われ続けた福島は「プロという意識が一切なくなった」という。

「昨年のドラフトを終えた時点で気持ちが吹っ切れました。落ち込むどころか『都市対抗で優勝したい』という思いが一層強くなりました」

 夏に開催される社会人野球最大のトーナメントである都市対抗野球大会。福島は今、その大舞台に野球人生のすべてをかけている。

 心技体は、ここ数年では最高の状態だ。「心に余裕ができた」。そして、ピッチングそのものが変わった。
「考えが浅かったピッチングが、百八十度近く変わりました。昨年までは、試合になればいい球を投げようとしていたし、スピードガンを気にしていた。でも、ピッチングってそうじゃない。結局は原点に戻るんですけど、アウトコースのまっすぐ、そのボールをどう生かすかが大切だと気づきました」

 体の仕組みや動きも深く考えるようになった。思考の方向性が変わり、ピッチングを楽しめるようになったという。その中で、福島は都市対抗優勝の青写真を持つ。

「高校のとき、僕たちは北大阪大会で7連勝、甲子園で6連勝、計13連勝で日本一を経験した。勝ち切っているイメージは今でもはっきりと残っています。その経験値は、都市対抗という舞台でも必ず生きてくると思っています」

 年を重ねるごとに、2008年夏に制した甲子園への思いが薄らぐ。なぜなら、「都市対抗で優勝したいという思いが頭の中を埋め尽くしている」から。あえて、過去の栄光を遠ざけようとしているのかもしれない。

「高校野球での全国制覇は誰もができる経験ではない。それは財産だし、あの夏の経験は生かしていかなければいけない。甲子園優勝投手として恥ずかしいことはできないと思っています」

 そう語っていたのは社会人2年目の頃。今は、目指すべきところが明確になった。

「日本一になりたい。高校のときとは違う喜びを味わってみたいですね」

 都市対抗優勝投手──その肩書が加わるまで、福島の野球人生は終わらない。(スポーツライター・佐々木亨)

※「週刊朝日増刊 甲子園 2017」より


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