国土交通省が、耐震性や間取りを変更しやすい可変性、居住環境など九つの認定基準をクリアする必要がある「長期優良住宅」に認定した点もこの物件の売り。長期優良住宅認定は建築コストが高いため、新築マンションにいたっては「普及率は1%ほど」(同省住宅局)しかないレアな物件なためだ。

 東京都調布市の賃貸マンションから2年前に移り住んできた30代後半の男性会社員は「約5千万円で22階にある3LDK(約80平方メートル)の間取りの物件を即買いしました。妻と子供2人の4人家族なのですが、普通のサラリーマンでも手が届く価格でしたし、眺望も抜群でこんなに住みやすいマンションはほかにはありません。今まで勤務先の銀座には1時間以上かかりましたが、今は有楽町線一本で10分ほど。本心では転売して儲けたいのですが、これ以上の物件はなかなか現れないですからね」とほくほく顔で語る。

 地元の不動産業者に聞くと、「この男性所有の約5千万円の物件は現在、軽く6千万円以上の値が付いています。売れば1千万円以上のお値打ちです。万全な耐震、免震システムと多彩な共有施設が人気のようです。空き待ちの問い合わせも非常に多くて困るほどです」と語る。

 住宅情報誌編集長などを務めた住宅コンサルタント、大久保恭子氏は資産価値を決定づける要因をずばり「立地が8~9割を占めます」と指摘する。

 その上で、「いかに維持、管理し、どう住むかで建物自体にもそれなりの価値が出てくる。価格動向を見極め、売買のタイミングを見て転売すれば高い資産を生み出すはず」と強調する。

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