表情がさえない安倍首相(c)朝日新聞社
表情がさえない安倍首相(c)朝日新聞社

 今、永田町で最大の話題は「安倍政権の余命」。数カ月前まで「一強」だったが、首相自らのオウンゴールで今では風前の灯火。エコ贔屓した稲田防衛相は斬り捨てざるをえなくなり、起死回生を狙う内閣改造も人選が難航。“政界リセット”のカウントダウンが始まった。

 安倍晋三首相は、旧知の間柄であるジャーナリストの田原総一朗氏と7月28日、官邸で1時間以上にわたり話し込んだ。

 きっかけは、前週に田原氏がある政府高官と会談したこと。田原氏が「内閣改造しても支持率は上がらない。このままでは先がない。死ぬ気になって頑張ってみようと思わないか」と“秘策”を話したところ、後に官邸サイドから連絡があり、安倍首相と直接会談することになったという。田原氏はこう語る。

「昼食を食べながらと思っていたけれど、食べるヒマがないくらい真剣に話した。安倍首相は現状に非常に危機感がある様子だった。私の提案には、前向きな反応でした」

 提案の中身は明かせないが「安倍首相にしかできないこと」だという。

 ただ、逆に言えばそんな捨て身の一手を検討せざるを得ないほど、安倍首相は追い詰められているとも言える。

 官邸関係者がこう語る。

「安倍首相はこの後、山梨の別荘に行き、3日間の夏休みをとる予定でしたが、北朝鮮のミサイル発射の兆候があることや組閣が難航していることから急遽(きゅうきょ)、取りやめていた」

 28日深夜には北朝鮮が弾道ミサイルを発射、日本のEEZ(排他的経済水域)に落下した。この判断は功を奏したものの、自民党内の安倍批判はやむ気配がない。ある自民党のベテラン議員がこう語る。

「永田町では早期解散説が流れているが、勝てっこない。総裁を代えて新しい“表紙”にしないと、自民党は終わる」

 安倍首相が追い詰められたのは、“オウンゴール”によるものだ。

 稲田朋美防衛相がやっと辞任したものの、最後までかばい続けた安倍首相に対する風当たりはすさまじい。

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