辞任会見ではまぶたが腫れていた蓮舫氏 (c)朝日新聞社
辞任会見ではまぶたが腫れていた蓮舫氏 (c)朝日新聞社

<孤独は山になく、街にある。一人の人間にあるのでなく、大勢の人間の「間」にある>

 人間社会の深淵を洞察した哲学者・三木清のこの言葉は、力を失った政治家ほど心に響くかもしれない。

 7月27日、民進党の蓮舫氏(49)が代表辞任を表明した。会見前に涙を流したのか、蓮舫氏の目は腫れていた。辞任の理由については「いったん引いて、民進党を新たな執行部に率いてもらう、これが最善の策だ」と力なく語った。

 同党は東京都議選で小池百合子東京都知事率いる都民ファーストの会に惨敗し、25日に野田佳彦幹事長が辞任を表明。蓮舫氏は後任選びで次々に党内有力議員から就任を断られ、行き詰まった末の“孤独”な辞任表明だった。

 同党の規約には、代表を解任できるリコールの規定がある。辞任前日には、代表選の前倒しを求める動きも出始めていた。また、党執行部の一人は、幹事長候補者に「受けるな」と働きかけ、側近が蓮舫おろしに加担するという異常事態も起きた。

 就任からわずか1年足らず。日本初の女性首相候補と期待された政治家の失脚に、党運営の怠慢を指摘する声が相次いだ。党関係者は、「問題は蓮舫氏だけにあったわけではない。野田さんが幹事長を辞めれば、後任人事が難航するのは予想できたこと。なぜ、野田さんは後任も決めずに辞任を表明したのか。それを周囲が認めたのも理解できない」。

 ある党幹部は「最近の蓮舫さんは、近くで見ていて痛々しかった」と言う。

 蓮舫氏の失敗は、「民主党政権失敗のA級戦犯」(民進党中堅議員)である野田氏を幹事長にしたことから始まった。

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