漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏は、「カンナさーん!」(TBS系火曜22:00~)で主演の渡辺直美の演技が初回から過激なことに着目する。
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初回は、直前の「マツコの知らない世界」にもゲスト出演した渡辺直美。マツコと直美、画面のみっしり感が尋常じゃなかった。
続いて始まった直美主演のドラマ。そりゃもう、規格外の破天荒コメディーだと思うじゃないですか。しかし開始早々にカンナ(直美)の夫(要潤)の浮気が発覚。また不倫ドラマか。しかも不倫夫はすべからく「ゲス夫」呼ばわりされる。これすべて「ゲスの極み乙女。」の川谷絵音のおかげね。ありがとうリバーバレー(←わかりづらいわ)。
そしてこのゲス夫、言い訳するどころか「浮気じゃない、本気だ」と開き直る。要潤といえば「うどん県」の副知事(香川県をPRする広報活動)として有名だけど、これもう「うどんじゃない、実はラーメンが好きだ」ってくらいの裏切り行為ではないか。
こんなこと言われた日には、すかさず「真夜中ですけど、皆さんに急きょお伝えしないといけないことができたんです」って、動画撮ってネットにアップするのが最近のスタイル。しかしカンナさんは、意外と耐え忍ぶ妻だった。
息子を乗せ、自転車で帰る途中に転倒。気を失う息子。病院で大事ないとわかりホッとしたのもつかの間、なぜかどしゃ降りの中、自転車を取りに行くカンナさん。そこで捜しに来た夫と出会い、「私はいつも笑えてないとだめなんだ」と離婚を告げ号泣って、もはや全然コメディーじゃない。
これ、直美の明るい存在感と身体のキレがあるからまだ心穏やかに見てられるけど、もしも他の女優だったらどうなっていたのか。力まかせにドッジボール投げつけられ、自転車転倒、膝ボロボロ、ずぶ濡れで離婚するって不憫(ふびん)のオンパレードに、そっとテレビの電源切ってしまいそう。
まさに直美のボリュームあってこそのドラマ。ただ初回から保育園でダンス、ドッジボール、自転車こぎからの転倒と、酷使されまくってる直美の膝が、最終回までもつのか心配。
※週刊朝日 2017年8月4日号