中村格子/整形外科医・医学博士、スポーツドクター/Dr.KAKUKO スポーツクリニック院長、横浜市立大学整形外科客員教授。トップアスリートから一般の人まで幅広く治療、指導。著書に『大人のラジオ体操』など多数(撮影/岡田晃奈、関口達朗、写真部・小原雄輝)
中村格子/整形外科医・医学博士、スポーツドクター/Dr.KAKUKO スポーツクリニック院長、横浜市立大学整形外科客員教授。トップアスリートから一般の人まで幅広く治療、指導。著書に『大人のラジオ体操』など多数(撮影/岡田晃奈、関口達朗、写真部・小原雄輝)

 いつまでも若く見える人の秘密は、実年齢より“体力年齢”の若さ。

【写真特集】自宅でできる年齢別エクササイズはこちら!

整形外科医でスポーツドクターの中村格子さんは50歳。姿勢が美しくてしなやかな筋肉があり、健康美を維持しているため、実年齢よりかなり若く見える。

「実年齢と体力年齢は違います。個人差はありますが、運動を続ければ10歳若返ることも可能。体力年齢が若返れば、見た目の若さもついてきます!」

 年を重ねるにつれ、運動を続ける人と全く何もしなくなる人の二極化が進むという。

「歯磨きや洗顔のように、“体のお手入れ”と思って毎日やることが大事。今までできなかったことができればうれしいし、気持ちよかったかどうかを自分に問いかけながらやってみて」

 そんな中村さんが大切にしているのは、“丁寧に生きる”こと。

「自分を大切に、丁寧に生きると、自分を粗末にしたくなくなります。体が喜ぶことをしたり、慈しむ気持ちを持ったりすることが、若返りにつながるんです。体力年齢が高くても、続ければ結果は伴いますから!」

さっそく、体力年齢テストでチェックして、実年齢より高めな人は、まずは自宅でできるエクササイズから。いつまでも動ける体のために、楽しく運動しよう!

■すぐに分かる体力年齢テスト

「実年齢よりも体力年齢が重要」というスポーツドクターの中村格子さん。まずは自分の体力年齢を測定してみよう。

(1)開眼片足立ち
両手を腰にあて、左右どちらでも立ちやすい側の足で片足立ちになる。上げた足は軸足には触れないようにし、上げた足が地面に着くまでの時間を測定

《80代以上》
10秒以下→体力年齢80代以上
危険水域! 1カ月以内に転倒の恐れあり。今すぐにトレーニングを

《70代以上》
1分未満→体力年齢70代以上
シニアの平均的数値。ただし安心せずに日々のバランス能力UPや筋力作りが大切

《60代以下》
1分以上→体力年齢60代以下
とりあえず合格点! 1分半以上できれば2の閉眼片足立ちにチャレンジ!

(2) 閉眼片足立ち
1で1分半以上できた人は、目を閉じて片足立ちに挑戦!(転倒に注意)。同じく、上げた足が地面に着くまでの時間を測定

《50代》
15秒前後→体力年齢50代
自宅トレーニングを行いつつ、各種フィットネスにも挑戦してみては?

《40代》
30秒前後→体力年齢40代
美しく健康的に機能する体を維持すべく、いろんなエクササイズを楽しんで!

■自宅でエクササイズ

《80代以上》
体力年齢が予想以上に高くても、必ず挽回できるので、まずはこのトレーニングから!

<タオルデッドリフトで、バランス、上半身と体幹を強化!>
スクワットはトレーニングの基本。タオルを使って正しい形をおさらいしつつ、バランス感覚も養っていこう。

(1)フェイスタオルを巻いて棒状にしたものを持ち、肩幅くらいの広さで立つ
(2)息を吸いながらタオルを太ももの前に添わせるようにしてひざのほうに下げつつ、ゆっくりと後ろに腰を落とす。息を吐きながら元の立ち姿勢に戻る。この動作を5回行う

<プランクで、上半身と体幹強化!>
腕立て伏せと同じポーズをキープすることで、体全体を固定し、安定させることを目指す。腕の力だけで体を支えないように注意。

両手を床につき、両足を後ろに伸ばして腕立て伏せと同じポーズをとる。この姿勢で呼吸をゆっくり行いながら30秒間キープ。難しければ10秒からでも可

《70代以上》
シニアの平均的数値といっても、使わなければ衰える一方。筋力アップで元気な体に!

<ダウンドッグで、全身運動、背部ストレッチ>
ヨガポーズの一種。両手両足でバランスを取り、体全体を使っていく。「頭を下げて血を頭のほうに流していくのも体にとってプラス。血流がよくなると自律神経も整います」

(1)両手を床につき、両足を後ろに伸ばして腕立て伏せと同じポーズをとる。この時、足は肩幅くらい開いておく
(2)両足を少しずつ前進させ、横から見ると三角のポーズを作る。この時、かかとが浮いてもOK(慣れたら、かかとは地面につける)。肩の延長線上に手首がくるイメージで腕を地面に押しつけ、おへそを見るようにして頭を肩より内側に入れる。この状態で3秒キープ

<ひざのプルで、体幹強化、股関節の可動域拡大>
上半身(固定)と下半身(脚を動かす)で別の動きをすることで、全身をバランスよく鍛えることができる。

腕立て伏せのポーズから、お尻と股関節の位置を変えないままで足を浮かせ、ひざを胸の方向に引き寄せる。この曲げ伸ばしの作業を交互に5回ずつ行う

<片脚バランスで、股関節の可動域拡大>
上記二つは手首に負荷がかかるため、手首に痛みを感じる人はこちらのトレーニングがおすすめ。体幹を強くし、股関節の動きをなめらかにしていく。

(1)肩幅くらいの広さで立ち、右ひざを上げて、右手でひざをかかえる
(2)左手は腰に当て、右手はひざを持った状態で足を右側に開く。この時、顔は左側に向ける。この状態で3秒キープ。左右交互に行う
慣れてきたら、ここまで足を上げられるようになる。この姿勢を目指して頑張ろう!

《60代以下》
「自分はまだまだ大丈夫」と安心せずに、さらなる努力で上を目指していこう!

<エアプレーンで、バランス、筋力アップ>
全身をくまなく使って、全体的な機能向上が期待できるトレーニング。バランス感覚も養うことができる

(1)右足だけで立ち、左足は後ろにピンと伸ばし、両手は飛行機の翼のように水平に広げる。この時、体がグラグラしないように注意
(2)左足をゆっくりと曲げて下ろしながら、左右の腕を下げ、床の近くで手をあわせる。左右交互に5回ずつできるのを目標に

<バーピーで、全身の関節のばし>
全身の筋肉をしっかり使い、さらにはジャンプすることで関節を開くこともできる。はじめはゆっくりでも、少しずつ動作を早めていこう

(1)肩幅くらいの広さで立つ
(2)両手を床につく
(3)両足を後ろにジャンプさせ、腕立て伏せのポーズになる
(4)再びジャンプしながらひざを曲げ、2の状態に戻る
(5)(4)の状態から力をため込んで、手足を広げて大きくジャンプする。一連の作業を5?10回行う

週刊朝日 8月4日号