東洋大准教授の小島貴子さん
東洋大准教授の小島貴子さん

 平均寿命は延び続け、今や男女ともに80歳を超える。人生100年が「当たり前」と思える時代も現実味を帯びてきた。「100歳人生」時代の生き方のコツを、東洋大学准教授でキャリアカウンセラーの小島貴子さんと一緒に考えた。

「100歳まで生きるとしたら、50歳はちょうど半分。50歳になったら、ずっとやりたいと思っていたけれど先延ばしにしていたことにあえて挑戦してほしい」

 と小島さんは話す。50歳から新しく生まれ変わるつもりで自分の未来を考えることを提案する。

「就活のカリスマ」と呼ばれる小島さんはこのほど、『女50歳からの100歳人生の生き方』(さくら舎)を出版。小島さんは、学生の就職活動だけでなく、シニアの再就職も専門で、今の時代、男女ともに、人生の後半は自分で作りあげる意識を持つ必要性を痛感しているという。

「日本中が100歳という時代がくる。でも、世の中は悲観的ですよね。高齢化は、姥捨て社会を作ると思っているからです。この社会の歪んだ受け止め方を変えていきたい。そのためには一人ひとりの意識の改革が大事」

 寿命が延びると、老後や余生が長くなると考えがちだが、自分のために使える時間ができたと発想を切り替えることからスタートだ。

 例えば、小島さんの元に相談に訪れた男性は、55歳で大手製薬会社を退職し、隠居生活に入るところだった。小島さんが「やり残したことはないですか」と聞くと、18歳のときに税理士になりたかったことを思い出し、そこから勉強。67歳で開業したそうだ。小島さん自身、50歳を過ぎてから大学院で学び、修士号をとっている。

「50歳を過ぎたら、家族のためでも、会社のためでもなく、自分自身のために時間やお金をかける。それが社会のためにもなります」

 60歳からでも70歳からでもいい。80歳、90歳になっても、人生100歳までと思えば、自分の夢を追い求めることは十分に可能だ。

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