「けっこう爽快感ありますよ」春風亭一之輔がとった正真正銘の「0点」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「けっこう爽快感ありますよ」春風亭一之輔がとった正真正銘の「0点」

連載「ああ、それ私よく知ってます。」

0点というものはフィクションの世界だと思ってたが...(※写真はイメージ)

0点というものはフィクションの世界だと思ってたが...(※写真はイメージ)

 汗をかく、砂ぼこりが舞う、顔にくっつく。足と腕はパンパン。頭はクラクラ。目の前は真っ白。もうダメだ。部活に出てるのに、私は死にそうになっていた。その時、数学のI先生が、

「おーいっ!! ラグビー部っ!! 1年の川上いないかーっ!?」

 と駆け出してきた。

「……ヤバイ」

 意識朦朧(もうろう)のなか、分厚いタイヤに顔を隠しながら、フラフラと押し続ける。

「あいつ、今日休みですよ!!」

 I先生に嘘をついてくれる部活の同級生たち。I先生はぶつぶつ言いながら校舎に戻った。

 入れ替わりに部活の顧問が校舎からこちらへ歩いてきた。

「会話があるとマズい!!」

 とビクビクしていたが、何事もなかったようす。

 ホッとした瞬間、意識が途切れて気がつくと夕方。私は木陰で横になっていた。

 24年前の夏、そんなことがあった。結局、ラグビー部はつらくて1年で退部。成績も3年生の頃には443番まで下がった。下に7人。そのうち3人は不登校だ。今の私には、数学もラグビーも、なーんの関わりも、思い入れもないが、「無駄なことしてたな」とは思わない。「やらなくてもいいことしてたな……」とは思うけど。

 わかったのは「水分補給は大切」ということ。

週刊朝日  2017年8月4日号


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春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。この連載をまとめた最新エッセイ集『まくらが来りて笛を吹く』が、絶賛発売中

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