本誌が入手した「寄付者リスト」には、平成27年9月7日の日付で、「(学)森友学園」の名義で100万円が寄付されたことが記されていた。昭恵夫人が否定し続けている100万円の寄付は、本当になかったのだろうか(撮影/ジャーナリスト・今西憲之)
本誌が入手した「寄付者リスト」には、平成27年9月7日の日付で、「(学)森友学園」の名義で100万円が寄付されたことが記されていた。昭恵夫人が否定し続けている100万円の寄付は、本当になかったのだろうか(撮影/ジャーナリスト・今西憲之)
本誌が入手した森友学園の小学校開校にあたっての「寄付者リスト」。昭恵夫人が手渡したとされる100万円が「森友学園」名義の寄付として記されている
本誌が入手した森友学園の小学校開校にあたっての「寄付者リスト」。昭恵夫人が手渡したとされる100万円が「森友学園」名義の寄付として記されている

 国有地の激安払い下げへの安倍首相夫妻の“関与”を国会で暴露した森友学園前理事長の籠池泰典夫妻が7月27日、大阪府から補助金を不正に受給した補助金適正化法違反などの容疑で大阪地検からついに事情聴取された。

【写真】寄付者リストはこちら

 昼過ぎ、大勢のマスコミが待ち構えるなか、大阪市北区の大阪地検前に籠池氏が姿を見せると、現場は騒然。

 森友学園が今年春に開校予定だった小学校の国有地を巡り、安倍首相との関係にまで及んでいた、森友学園問題が大きな局面を迎えた。

 籠池氏が昨日、大阪地検から受けた連絡では任意の事情聴取だったという。だが、異例の展開を見せる森友学園。いきなり「逮捕」もあるのか、目が離せない。

 しかし、籠池氏への捜査だけでは、森友学園問題の真相が究明されたとはとても言い難い。本誌が入手した森友学園の小学校開校にあたっての「寄付者リスト」を改めて見返してみよう。

 リストには約500人の寄付者の氏名、住所、電話番号、寄付日、金額などが記されていたが、そこには籠池泰典前理事長と親しく、系列幼稚園で講演したこともある平沼赳夫衆院議員の名前もあり、平成26年4月25日に5万円を寄付したと記されていた。

 さらに籠池氏が国会で証言した安倍晋三首相に代わり、昭恵夫人が手渡したとされる100万円(安倍夫妻は否定)も平成27年9月7日付で「森友学園」名義の寄付として記されていた。

 だがこのリストに記載されている寄付総額は、約5000万円。森友学園は大阪府や近畿財務局には3億円近い寄付が集まる予定と説明しており、その金額とは程遠いものだった。

「小学校が開校していれば、どうやりくりしたのでしょうか」(大阪府の関係者)

 籠池氏は強制捜査が近づく心境について「国家ぐるみで私を悪者にしたいのだから、もう仕方ない」とあきらめの境地を語っていたという。

さらに国有地が森友学園側に格安で払い下げた際、財務省近畿財務局が学園側にいくらなら支払えるかと事前に尋ね、値引きされたこともNHKが報じている。

 府の関係者によると、籠池氏は聴取前、一部の容疑については認めてはいなかったという。

 籠池氏は7月10日の大阪府議会による参考人質疑で、森友学園の運営する塚本幼稚園で安倍昭恵夫人の講演会があった15年9月5日、昭恵夫人から100万円の寄付を受け取った後、近くのレストランで「ビーフステーキを一緒にいただきました」と述べた。

 寄付者リストや近畿財務局の疑惑が解明される日は来るのか。(ジャーナリスト・今西憲之)

週刊朝日 オンライン限定記事

著者プロフィールを見る
今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

今西憲之の記事一覧はこちら