ミッツ・マングローブ「『病んで壊れることは怖くない』という病み社会」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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ミッツ・マングローブ「『病んで壊れることは怖くない』という病み社会」

連載「アイドルを性せ!」

ミッツ・マングローブさんが「病み社会」を取り上げる(※写真はイメージ)

ミッツ・マングローブさんが「病み社会」を取り上げる(※写真はイメージ)

 インターネットやSNSの普及によって、感情や環境の主張はしやすくなったかもしれませんが、今一度噛み締めるべきです。「果たしてこれは本当に、どうしても伝え共有されなければならないことなのか?」と。本当に発信されなくてはならないSOSと、そうではないSOSが同等に扱われてしまう恐ろしさ。本当に同情されなくてはならない病みと、そうでもない病みが一緒くたに事務的にファイリングされてしまう、そんな鈍感な世の中で保障される個性や平等や自由など、いったい何の意味があるのでしょうか?

 一方的に取り乱した結果、世間からは格好の餌食になる。そんな話題が多過ぎて、ともすれば『一億総貰い病み』のスパイラルに陥っている印象すらある昨今。私とて、情緒が安定しているとは決して言えないタイプですし、常に引け目と卑屈さを全身で感じながら生きている人間故に、結局は何が言いたいかって、泰葉さんも松居一代さんも勿体無いなということ。

 ああいう『危なっかしい人』がいるからこそ、この世は面白いのに、全部詳(つまび)らかにされてしまったら眉をひそめるしかできないじゃないですか。また、眉をひそめて『自分は安全地帯にいます』アピールに余念のない世間にも辟易します。そしてそんな私もまた勝手に病んでいるのかもしれません。

週刊朝日  2017年7月28日号


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ミッツ・マングローブ

ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する

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