鈴木おさむ「松居一代独白スタイルはメディア界の一大事件です」
連載「1970年生まれの団ジュニたちへ」
放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は「松居一代の独白」をテーマに送る。
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あれは僕が中学生の時。1985年6月、豊田商事刺殺事件は起きた。男がカメラの前でマンションに侵入し、しばらくしたら血だらけの包丁のようなものを持って出てきた。そして逮捕された。一人の人が殺される瞬間こそ映ってないが、今から殺しに行く人と、そして殺しているであろう間の部屋の前、そして人を殺して出てきた瞬間をカメラは捉えていた。あの瞬間の映像の熱量は相当なものだった。カメラの前で事件が起きた瞬間。
われわれ団塊ジュニア世代にとって、激しく記憶に残っている。
テレビができてから、あらゆるニュース映像が放送されてきた。全国の人たちがそれを見ることによって、記憶に刻まれてきた。テレビから流されたニュースは、時代も変えてきた。
そして今、時代はネットに。もはやニュース映像はテレビだけのものではない。個人が撮影したものもニュースとなりネットに流される。時にはその映像は、テレビ局が撮影していたものよりパワーを持っている時がある。
と、書いてきたが、何を言いたいかと言うと、松居一代さんである。連日、ワイドショーで取り上げられているこのニュース。僕はこれはメディアを大きく変える「事件」だと思っている。というのも、YouTubeを使い、個人的に発信したものが、メディアをとてつもなく巻き込んでいるからだ。
縁あって、今年、YouTuberを多く抱える会社の社長と仲良くなり、自分なりにYouTubeとYouTuberなるものを結構勉強している。テレビの人はYouTubeを上から見る人が多いが、YouTubeは日本でかなりの巨大なメディアであり、その幹は今後もどんどん大きくなるだろうと思っていた。そんなところに、松居一代さんである。
