ファンの心はつかんだ!(c)朝日新聞社
ファンの心はつかんだ!(c)朝日新聞社

「コンニチハ、ポドルスキデス」

 関西空港からチャーター機で神戸空港まで移動すると、待ち受けた約1千人の前で60メートルのレッドカーペットを歩き、30分以上かけてファンとの記念撮影に応じたりサインをしたり……ド派手な演出と“神対応”で、つかみはバッチリ、なのがJ1神戸に新加入した元ドイツ代表FWのルーカス・ポドルスキ(32)だ。

 かつてポドルスキがドイツ代表として出場したヨーロッパ選手権で、元「ワールドサッカーグラフィック」編集長の中山淳さんは、こんなシーンを目撃した。

「消化試合でしたが、ドイツ代表が勝って選手らがサポーターにあいさつをしたとき、ポドルスキが先頭に立って、サポーターに歌を歌わせて盛り上げていました。ドイツはまじめなイメージがありますが、ポーランド系の彼はノリが良く、陽気で明るいから人気があるんです」

 今年3月、ドイツ代表引退試合でもゴールを決め、「まだまだ(代表でも)できる」と言われたが、ドイツで代表の引退試合をすること自体、まれだという。

「彼とシュバインシュタイガーは特別人気があったのでドイツのサッカー協会がそうしたわけで、ドイツサッカー界でも屈指のスター選手なんです」(同前)

 Jデビューは最速で7月29日の大宮戦(ノエスタ)。中山さんによると、日本のサッカーは「働き蜂のように忙しく動き回り、“間”がなく、ワールドスタンダードではない」ため、「彼がこの特殊さにフィットできるかどうか」に注目する。
 さて、ポドルスキをJ史上最高の年俸6億円(推定)で神戸に呼んできたのが楽天の三木谷浩史社長。プロ野球で有名になったが“金も出すけど口も出す”御仁である。それはサッカーでも同じのようだ。

「現場介入で有名な三木谷さんですが、ポドルスキ獲得は初ヒット、初ホームランじゃないですか。Jリーグは、セレッソ大阪のフォルラン以来、ワールドクラスのスター選手不在で、年俸では中国のチームにもかなわない中、大物を獲得してくれたわけでね」(ベテラン記者)

週刊朝日 2017年7月28日号