役員報酬額のトップ30と配当収入と役員報酬の合計トップ10
役員報酬額のトップ30と配当収入と役員報酬の合計トップ10

 日本の経営者はいくら稼いでいるのか。懐具合をのぞくと、新たな変化がしのび寄っているとわかる。顔ぶれは国際化し、業績に応じた変動報酬の拡大が時代の流れ。欧米企業より低水準とされてきた金額は、ベースアップ(底上げ)の様相を呈している。その実態は?

 報酬1億円以上の役員の公表制度に基づき、東京商工リサーチが6月末現在で集計した。対象とした2017年3月期決算の2426社のうち、1億円以上の役員がいた企業は221社。前年の414人から457人に増え、過去最多だった。

 上位10人のうち、5位までは外国人。1位はソフトバンクグループのニケシュ・アローラ氏で、103億4600万円。前年の64億7800万円を上回り、歴代最高額を自ら更新した。

 アローラ氏は14年、米グーグルから迎え入れられた。その後副社長に就任し、孫正義社長の後継候補だったが、昨年6月に在籍2年足らずで退任。退職金が88億円にもなった。

 6月21日のソフトバンクの株主総会では、「88億円は非常に重い」「この費用を株主に還元できたのでは」「二度とこうしたことがないように」などと疑問や不満の声が上がった。

 孫社長は、アローラ氏を迎えるためにグーグルと同等以上の報酬を用意する必要があったと説明。「2年間の貢献も非常に大きかった」「代わりに私が現役の社長として戻ってきた」などと述べ、理解を求めた。

 孫社長の報酬は1億3900万円。社長より高額を受け取る外国人役員は今や珍しくない。11位のトヨタ自動車副社長ディディエ・ルロワ氏は、6億8300万円。豊田章男社長の3億2200万円の約2倍だ。

 一方で、別の指標でみると孫社長や豊田社長の位置づけも変わる。創業者や創業家の経営者は、役員報酬を大きく上回る配当収入がある。日本人トップが巨額報酬を必要としなかった一因かもしれない。

 日本企業の海外展開が加速するにつれ、経営者も外国人が増えた。日本人トップの報酬は米国の10分の1程度、欧州の2~3割程度との試算もある。外国人への報酬額は日本人の感覚でみると高すぎる。経営陣の説明に、株主も注目する。

次のページ