──今どきの子にその教えは理解され難いのでは?

鳴戸:その通りです。

西岩:時代に合った指導方法をしていかないと。

──田子ノ浦部屋にお邪魔したとき、若い衆が笑顔で筋トレをしていて驚いたんですよね。

西岩:筋トレは先代の親方から勧められ、ずっとやってきましたが、引退するまで、週6回ジムに通っていました。39歳まで現役を続けられたのも、そのおかげだと思っています。

鳴戸:私はまわしをつけて弟子たちと一緒に稽古をしています。これをやれ、と言っても何もわからないので、筋トレのほか、「相撲とは何だ」という教えから始めています。西岩親方がおっしゃるように、時代に合った教え方をしないといけない。大相撲は時代劇じゃないですから。引退後は日体大の体育学部武道学科で2年間スポーツ科学を学び、ちゃんこにも気を遣っています。力士は体重を増やすのも仕事ですけど、ジャンクフードを口にしていては、体を壊します。「食べたものが体になる」と意識させています。

西岩:僕はスポーツ・メンタルトレーニングも学んでいます。相撲に大切なのは心技体とよく言いますが、一番大事な心を鍛えてきませんでした。気持ちを高めて気分よく稽古に臨むのが大切だと考えるようになり、そう指導しています。

週刊朝日  2017年7月14日号