麻央さんの死はつらい出来事なのは確か。ただ、その人生の中で残したものが次第に家族を癒やし、それを糧に困難を乗り越えていく。そんな見方もあるだろう。1年半前に乳がんと診断されたエイジング・スペシャリストの朝倉匠子さんは、同じ母親として麻央さんの無念を理解しつつ、これからにも想像を及ばせる。

「彼女が書いたブログはいつか、勸玄(かんげん)君や麗禾(れいか」さんが読んで、お母さんの思いを知ることができる。これは素晴らしいことと思います。麻央さんは宝物を残された」

 聖路加国際病院精神腫瘍科部長の保坂隆医師も、こう話す。

「麻央さんが残された2人はすごく良いお子さんに育つと思います。そんな教育をされたと思う。死に方は生き方。彼女は立派だった。麻央さんの人生は素晴らしかった。皆がそう評価すべきなのです。これを不幸と思ってはいけない」

 とはいえ、亡くなってからまだ、日が浅い。海老蔵さんに近しい人は心中を静かに察する。

「子供の頃から知っている孝俊さん(海老蔵さんの本名)が憔悴しきった顔で気丈に応対して 我々の性ですが大切な人を亡くしても舞台をいつもと同じように勤めてすぐに来月の稽古も始まって、彼の心と身体が心配です。暫くそっとしておいてあげて欲しい、、、」(坂東彌十郎さんの6月24日のブログから)

 いまは「そっとする」のが優しさ。麻央さんも、ほんの少し離れた場所から、「そっと」見守っているに違いない。

週刊朝日2017年7月14日号