離婚にはお金もエネルギーもかかるものだ。

「“お嬢様”から“奥様”になって、夫からも仕事なんてしないでいいよと言われて生きてきたような女性には、厳しい現実の嵐に感じられるかもしれません。これは何も離婚の準備金づくりのために言うのではありませんが、やはり女性は子育てが一段落したら社会に出て、何かしら仕事をしておいたほうがいいと思います。社会性やトラブル処理能力は社会でもまれるからこそ、身につくもの。それがある程度養われていれば、離婚においても自分が進むべき道を後悔なく、選択できるのではないでしょうか」(比留田さん)

 晴れて離婚できた暁には、自分の親が健在ならば、実家で親と暮らすのもひとつの手だと前出の中島さんは助言する。

「住居費のことだけではなく、のちの親の介護のことを考えて。また自分自身が介護される年齢になったときのことも考えて、できるだけ兄弟姉妹や、親戚、近隣とのつながりをつくっておくといいですね」

 岡野さんは、結婚相談所も経営している。近年は“熟年婚活”もかなり盛り上がっているようだ。

「離婚を経験し、新しいパートナーと巡り合いたい方はたくさんいるんですよ。ただ女性で『お金がなくて心配だから、面倒を見てくれる人が欲しい』という方が増えているのはちょっと問題かな。離婚は経済的不安をクリアにしてからしなきゃ。“感情”じゃなくて、“勘定”してからするのが、大人の離婚(笑)」(岡野さん)

 いやはや。「あなたのことはどれほども」と夫を捨てるときには、「この離婚の損得勘定はいかほど」を先々まで計算しておかなくては。そう考え始めたら女の人生、いくつになっても忙しいったらありゃしないのである。

週刊朝日 2017年7月7日号より抜粋