巻き返して笑みがこぼれるのはいつの日か(c)朝日新聞社
巻き返して笑みがこぼれるのはいつの日か(c)朝日新聞社

 渡米後、初対決となった6月23日のダルビッシュとの投げ合いでは久々に好投したニューヨーク・ヤンキースの田中将大。だが6連敗中で、説明できない不調、もはやエースではない、などと酷評されている。

 元MLB担当記者は解説する。

「田中が、『今年はボールが少し飛ぶように感じる』と話してましたよね。実際、MLBでは今季、本塁打が過去最多のペースで増えていて、飛ぶボール疑惑を検証した報道もあるんです。事実だとすれば、田中に代表される回転の良い、球筋が奇麗な日本人投手のボールほど影響を受けやすく、よく飛びますからね」

 かつて選手会のスト、ロックアウトの影響でファン離れが顕著になり、飛ぶボールを導入したと言われたMLB。マグワイアとソーサが異常なハイレベルで本塁打王争いをしたころのことだ。野球の華である本塁打を増やすことで人気回復を狙ったと言われていた。

サッカー熱が高まることへの危機感からでしょう。若者の野球離れに加え、トランプ大統領が目の敵にする中南米系移民の間ではサッカーが人気で、来年はW杯もあります」(同前)

 なるほど、と思っていると、「いやいや」という声が聞こえてくる。

「飛ぶボールの話は、マー君“らしく”ない。本人も『言い訳になるかもしれないけど』と言ってましたが、それでも口にしたのは、エクスキューズを求めてしまうほど結果が出ないから。配球を読まれているか、クセを盗まれているのだと思います」

 こう語るベテラン記者が「象徴的」と挙げたのは3本塁打されて負けた5月21日の対レイズ戦。ワンバウンドになりそうな低めのスプリットを本塁打された場面だ。

「あんなコース、球種がわかってなきゃ打てません。特に対戦の多い同一地区のチームは徹底的に研究していますね」(ベテラン記者)

 心理的な影響を指摘する声もある。

「日本人投手はアマチュア時代から球数が多く壊れやすい、というイメージがつきまとう。マー君に限らずマエケンもダルビッシュも同様です。それも中4~中5日の短い登板間隔で結果を求められ、プレッシャーは計り知れません。人気球団にいるマー君は注目度も高く、疲弊しているはずです」(スポーツ紙デスク)

 ダルとの好勝負をキッカケに復調できるか。

週刊朝日  2017年7月7日号