内部文書を「本物」と断言し、渦中の人となった前川喜平前文部科学事務次官が6月23日、再び会見。加計問題の“キーマン”の一人とされる萩生田光一官房副長官について、“重要証言”をした。

 文科省が官邸や内閣府に屈して獣医学部の新設を押し切られた背景には、萩生田氏の“裏切り”があったというのだ。

「文科省から見たら、萩生田副長官は大変頼りになる文教族の先生。(昨年)10月初めごろの文科省の気持ちとしては、実質的に関与してくれない農水省や厚労省を引き込んだり、性急に事を進めようとする内閣府に対して、もう少しゆっくり検討してもらえないかという気持ちを持っていて、萩生田副長官に調整してもらえないかと、頼みに行ったわけです」

 前川氏が存在を証言した文書「10/7萩生田副長官ご発言概要」によると、なるほど、確かに萩生田氏は文科省職員のよき“相談相手”として振る舞っているように見える。

 開学時期について〈平成30年4月は早い〉として〈学校ありきでやっているという誤解を招くので、無理をしない方がいい〉〈私の方で整理しよう〉などと記載され、文科省側に軸足を置いたような発言をしたとされている。

 ところが、2週間後の「10/21萩生田副長官ご発言概要」になると、萩生田氏の態度が一変する。

 萩生田氏と文科省の常盤豊高等教育局長が面会した際のやり取りを記録したというが、〈総理は「平成30年4月開学」とおしりを切っていた〉〈官邸は絶対やると言っている〉などと、早期の手続きを文科省サイドに迫る内容になっている。

 前川氏も萩生田氏の豹変ぶりをこう語った。

「萩生田さんの官房副長官としての調整機能に期待していた。ところが、10月21日になると、むしろ、和泉(洋人)首相補佐官と話した結果として、とにかく早くやりなさい、平成30年4月開学は総理がおしりを切っているんだと言ってね。文科省として期待していた調整機能は果たしていただけなかったんだと。むしろ、文科省を説得する側に回っているということですね」

 萩生田氏の発言録は文科省専門教育課の共有フォルダーに保存されており、“萩生田主犯説”が浮き彫りになる。すなわち、安倍首相の意向を踏まえた「発言」である可能性が濃厚なのだ。

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