いま注目の画期的な自動車保険とは?(※写真はイメージ)
いま注目の画期的な自動車保険とは?(※写真はイメージ)

「保険をかけているのに、使ったら損をすると言われ、結局自腹で払った……」

 自動車事故を起こし、そんな体験をした人は、多いのではないだろうか。その理由は、2013年10月から導入された「事故有係数制度」にある。

 事故を起こして保険を使うと、金額にかかわらず、翌年からはペナルティーとして保険料が約5割増になり、3年間続く。例えば、年間保険料10万円の契約者が事故を起こし、保険金を請求すると、その後3年間で保険料が15万円もアップ。損害額が数百万~数千万円といった高額ならともかく、軽微な事故なら「自腹で払っておいたほうがいい」という判断になるわけだ。

 そんな中、昨年4月に登場した「保険を使っても割り増しがつかない」という画期的な自動車保険が注目を集めている。青森県の保険代理店、山手保険事務所の佐々木正志代表は語る。

「朝日火災海上保険が開発した『ASAP6(アサップシックス)』という6年契約の自動車保険で、昨年から爆発的な売れ行きを見せています。保険料が他社より安いだけでなく、契約期間中1回までなら保険金を請求しても割り増しがかからないんです」

 朝日火災海上保険によると、自動車保険の新規契約対前年度比増収率(16年4~9月)は、複数の会社の商品を扱っている乗合代理店で897%、訪問販売代理店(9社平均)で1241%と飛躍的に向上した。

「保険料が上がるのが心配で、使いたいときに使えない保険など無意味です。保険期間を6年とすることで保険のメリットを最大限に引き出しました」(朝日火災広報課長・山本淳氏)

 支払い方法も、一括から月払いまで選択肢は自由だ。

 自動車保険の長期契約は元来リース会社のための契約形態で、大手損保も扱ってはいるが、保険料は一時払いのため高額になる。その壁を打ち破ったのが朝日火災だ。ただし、ASAP6に新規加入、または満期時に更改するには(1)無事故割引が6等級以上の人(2)事故有等級適用期間(割増期間)が4年未満(3)契約時の年齢が69歳以下、が条件。

 ハイリスクのドライバーは入りにくいが、無事故割引を続ける優良契約者にとってはお得な商品と言える。

「朝日火災は業界シェアが0.5%程度なので、ASAP6の認知度は低いが、大手各社は無視を決め込みながらも実は戦々恐々で、朝日火災との乗り合いを考えている代理店の動きを阻止しているようです」(前出・佐々木氏)

 自動車ユーザーが長期契約のメリットを検討する時代がやってきたようだ。(柳原三佳)

週刊朝日  2017年6月30日号