ラーメン好きで知られるキアヌ・リーブス。来日キャンペーンにこれからも参加してほしい
ラーメン好きで知られるキアヌ・リーブス。来日キャンペーンにこれからも参加してほしい

 先週、ラーメン好きのハリウッドの大物俳優キアヌ・リーブスが、東京・赤坂の「九州じゃんがら」に突然現れ、話題となった。キアヌは、映画「ジョン・ウィック:チャプター2」のキャンペーンで来日。東京・六本木でのジャパンプレミアに、チャド・スタエルスキ監督と登場した。

 ただ、今後はこうした華やかな来日キャンペーンや、それに伴う楽しい話題が減っていくかもしれない。ハリウッドは、日本を「素通り」し、巨大市場中国を目指し始めているからだ。

 例えば、中国・北京で3月に開かれた「ワイルド・スピード ICE BREAK」のプレミアには、人気俳優のジェイソン・ステイサムや、シャーリーズ・セロンが登場。一方、日本は、映画で使われた車が〝来日〟しただけだった。

 世界的人気の「X−MEN」シリーズのスピンオフ映画「LOGAN/ローガン」のプロモーションでは、主演のヒュー・ジャックマンとジェームズ・マンゴールド監督が5月に来日した。3月に北京で開かれたプレミアには、ヒュー・ジャックマンに加え、シリーズおなじみの「プロフェッサーX」役のパトリック・スチュワートも参加。日本にはパトリックは来なかった。

 7月公開の「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」は、主演のジョニー・デップらが来日予定と知り、映画ファンも喜んだだろう。ただ、実はワールドプレミア(世界で初めての上映)は中国の上海ディズニーランドで5月に盛大に開催され、ジョニー・デップのほか、オーランド・ブルームら人気俳優が登場。女性ファンが多いオーランドの来日は、現時点では発表されていない。

 映画評論家の平野秀朗さんは、こう分析する。

「日本びいきの俳優は多いので、来ることは来るかもしれないが、ビジネス的に中国を向いているのは確かです。アジアマーケットの主軸が日本から中国にシフトしたのです」

 内閣府知的財産戦略推進事務局の資料では、2012年の日本と中国の映画市場は同規模だったが、15年には中国が約4倍に成長。日本はほぼ横ばいだった。

「転機は12年。中国は世界2位だった日本を抜き、今や米国市場の6割に。近いうちに米国を抜くかもしれない」(大手映画関係者)

 ただ、別の見方もある。

「こういったキャンペーンは世界的に減少。ネットやSNSを活用したプロモーションの影響です」(同)

 市場の魅力は薄れても、ラーメンのおいしさは普遍。キアヌには、またラーメンをすすりに来てほしい。

週刊朝日  2017年6月30日号