この件については、私が皇室や宮内庁と連携して動いていると「謀略説」がはびこっていますが、そんなことはまったくない。唯一言えるとすれば、首相在任中に、両陛下が象徴天皇として被災地に赴き、慰霊を続けるお姿に接してきた。それを、どう受け止めるかが、首相として課せられた役目だと思い、お気持ちを「忖度」してきた。その後は、園遊会でお会いするくらいで、皇室と交流はありません。

 ただし、安定的な皇位継承など皇室をめぐる喫緊の課題は解決していない。

 安倍政権は、先送りにして成り行き任せです。悠仁さまがいまは10歳だが、20歳を過ぎたあたりに本当に嫁いでこられる方がいるのか。それを支えるご家族の方がいるのか、というのが本質的な議論になる。10年後、危機的状況に接して初めて議論を浮上させるのではなく、皇室典範の議論は、静かに継続しなければなりません。

 自民党を中心に議論してきた旧皇族の復帰といった案も、検討自体は否定しない。しかし、本当に適切な方がいるのか、現実味が感じられず、はなはだ疑問です。「女性宮家」の話を封印するための、先延ばしに使うのであればやめてもらいたいですね。

週刊朝日  2017年6月30日号