国会で答弁する菅官房長官の後ろであくびをする麻生財務省 (c)朝日新聞社
国会で答弁する菅官房長官の後ろであくびをする麻生財務省 (c)朝日新聞社

「怪文書だ」と強弁してきた加計文書について、菅義偉官房長官は16日、ついに「現在の認識ではない」と撤回に追い込まれた。「菅路線の破たん」(自民党幹部)と自民党内から交代論が公然と語られ始める一方、麻生太郎財務相を軸にポスト安倍の蠢きが活発化してきた。

 国会が閉会し、安倍首相のもう一つの頭痛の種だった森友学園の籠池泰典氏に危機が迫っている。補助金不正問題で大阪地検が強制捜査に乗り出すというのだ。安倍政権に都合の悪い証言を繰り返してきた人物だけに、「国策捜査」と騒がれかねないリスクをはらむ。

 そして加計問題では強引な国会運営ばかりが目立った。

「菅さんの加計問題の高飛車な発言や捜査当局への立件圧力などは都議選の結果に大きく影響を与えるだろう。都議選に大敗したら、次の内閣改造で菅さんは交代するべきではないか」

 自民党本部で開かれた副幹事長会議で、首相側近の自民党幹部からこんな過激な発言も飛び出した。

 文部科学省でも火の手があがった。松野博一文科相は前言を撤回し、文科省が内閣府から「総理のご意向」などと言われたと記された文書が見つかったと15日に発表。

 さらに首相の側近、萩生田光一・官房副長官が内閣府に加計学園しか実質的に応募できない要件を追加修正せよ、と指示したとされるメールまで暴露した。

 萩生田官房副長官は慌てて全面否定、山本幸三地方創生相が「私の指示」とかぶり、安倍首相は「調査に時間がかかったことを率直に反省したい」と苦しい答弁を強いられた。

 政府関係者は言う。

「役職上、内閣人事局長は萩生田氏だが、人事を現実的に差配しているのは菅さんです。霞が関全体に睨みを利かせ官僚を牛耳ってきた。政権寄りの読売新聞に前川喜平前文科事務次官の出会い系バーへの出入りをリークするなど、冷静沈着を装いながら力ずくで走る菅路線の完全な失策です。黙殺・拒否戦術がすべて裏目に出ましたね。首相が菅さんに声を荒らげたほどで、次の内閣改造で交代させる可能性もある」

 菅官房長官に代わり、存在感を増しているのが麻生財務相だ。

 7月3日には山東派などを吸収した60人規模の新麻生派を正式発足させる。

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