基本的に映像の現場では、監督に身を任せて料理してもらうというスタンスでいます。自分が演出するときは、自分のなかにあるものでどうやりくりするかですが、純粋に演者として参加するときは自分のなかにないものを引き出してもらうという感じですね。

──できあがった作品を見た感想は?

 ここまで深い作品になっているとは、思いませんでした。愛を求める子ども、男女の物語、社会的な問題……。台本にも書かれていましたが、清水監督が映像を通じて表現されたことで、それがさらに深まった。もちろん、純粋にホラーとして楽しむこともできますが、さまざまな視点から見ることができる。そういう映画です。

──「もっと愛されたい」という子どもたちの心の声が聞こえてくるような気がしました。ご自身はどんな子どもでしたか。

 やんちゃでしたね。田舎に住んでいたので、山のなかで遊んだり、走り回ったり、キャッチボールとかやっていました。プロレスが好きで、大仁田厚さんの追っかけをしていました。「毎日来る少年がいる」ということで楽屋に呼んでもらって、サインをいただいたのが一番の思い出です。その話を芸能界に入ってから大仁田さんにしたら、「お前だったのか!」と。ただ、一人親だったので親と接する時間は少なかったですね。誰もが親を持っていて子ども時代を経験しているので、この映画を見てそれぞれの子ども時代を思い出して、「もっと愛がほしかった」と思う人もいるかもしれません。

──そのころ、まさか芸能界に入るとは?

 想像してなかったですね。でも未来を想像してもそのとおりにならないことのほうが多いと思うんです。受け身になっても何も進まないけれど、動いていれば何かしらの出会いがあると思います。この映画もそうした出会いの一つです。

──映画では子どもたちを引き連れていますが、現場では子役との交流は?

 飽きないように話しかけたりはしていました。みんないい子たちでしたね。子どもが持つエネルギーやパワーというのはスゴイです。ホラー映画ですが、彼らのおかげで現場も明るくなりました。重たい現場って疲れちゃいますから。

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