【3】大事な会議で極度に緊張。落ち着きたい


<半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)>
 会議で発表をする前など、極度に緊張する場面で胃がキリキリと痛むことがあるだろう。緊張しないようしっかりと準備をする、予行演習をするなど対策を講じても痛くなるときは、半夏瀉心湯を。今津さんが解説する。

「気持ちを落ち着かせ、胃や腸の粘膜のトラブルを改善させる働きがあります。緊張しすぎて気持ちが悪くなる、吐き気がするといった症状にも対応できます」

 ポイントは飲むタイミングだ。会議の10分ほど前など、緊張しそうなときにあらかじめ飲んでおくのだ。しばらくすると、みぞおちのあたりがスーッとラクになっていくという。

 ほかにもストレスがかかると胃がキューッと痛む、こんなストレス性胃炎にも漢方薬は有効だ。新井さんは言う。

「こういう痛みには西洋薬では胃の動きを抑える鎮痙(ちんけい)薬を使いますが、漢方薬にも似たような作用を持つ処方があります」

 こういう症状に効く漢方薬は、柴胡桂枝湯。筋肉のけいれんを抑えてくれる芍薬(しゃくやく)や抗ストレス作用を持つ柴胡(さいこ)などの生薬を含む。ストレス性胃炎はストレスにより平滑筋(へいかつきん)でできている胃がけいれんを起こしている状態なので、この漢方薬が効くのだ。飲み続けると痛みそのものが起こりにくくなるという。

週刊朝日 2017年6月23日号より抜粋